*ベロテック錠2.5mg


作成又は改訂年月

**2010年4月改訂(第5版)
2008年12月改訂

日本標準商品分類番号

872252

日本標準商品分類番号等

再審査結果公表年月(最新)
1993年9月

薬効分類名

気管支拡張剤

承認等

販売名
*ベロテック錠2.5mg

販売名コード

2252006F1070

承認・許可番号

承認番号
*22000AMX02011000
商標名
Berotec Tablets 2.5mg

薬価基準収載年月

*2008年12月

販売開始年月

1985年2月

貯法・使用期限等

貯法
気密容器、遮光保存
使用期限
外箱、容器に使用期限を表示

組成

成分・含量
1錠中フェノテロール臭化水素酸塩 2.5mg
添加物
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸

性状

剤形
白色の素錠(割線)
外形
raster
直径
6.0mm
厚さ
2.4mm
重さ
0.085g
識別コード
raster

一般的名称

フェノテロール臭化水素酸塩製剤

禁忌

(次の患者には投与しないこと)
1.
カテコールアミン(エピネフリン、イソプロテレノール等)を投与中の患者
「相互作用」の項参照
2.
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

効能・効果/用法・用量

効能・効果

下記疾患の気道閉塞性障害に基づく呼吸困難など諸症状の緩解
気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、塵肺症

用法・用量

通常成人には1回1錠(フェノテロール臭化水素酸塩として2.5mg)を1日3回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)
1.
甲状腺機能亢進症の患者
[症状を悪化させるおそれがある。]
2.
高血圧症の患者
[血圧が上昇することがある。]
3.
心疾患のある患者
[動悸、不整脈等があらわれることがある。]
4.
糖尿病の患者
[症状を悪化させるおそれがある。]
5.
高齢者
「高齢者への投与」の項参照

重要な基本的注意

1.
用法用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合は、本剤が適当でないと考えられるので、投与を中止すること。また、経過の観察を十分に行うこと。
2.
過度に使用を続けた場合、不整脈、場合により心停止を起こすおそれがあるので、使用が過度にならないように注意すること。

相互作用

併用禁忌

(併用しないこと)
薬剤名等
エピネフリン製剤(エピネフリン、ボスミン注、ノルエピネフリン)
イソプロテレノール製剤(アスプール液、メジヘラー・イソ)
臨床症状・措置方法
不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがある。
機序・危険因子
エピネフリン、イソプロテレノール等のカテコールアミン併用により、アドレナリン作動性神経刺激の増大が起きる。
そのため不整脈を起こすことが考えられる。

併用注意

(併用に注意すること)
薬剤名等
キサンチン誘導体(テオフィリン、アミノフィリン)
ステロイド剤(ベタメタゾン、プレドニゾロン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム)
利尿剤(フロセミド)
臨床症状・措置方法
血清カリウム値の低下作用を増強することがある。
血清カリウム値のモニターを行う。
機序・危険因子
キサンチン誘導体はアドレナリン作動性神経刺激を増大させるため、血清カリウム値の低下を増強することが考えられる。
ステロイド剤及び利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が増強することが考えられる。

副作用

副作用等発現状況の概要

調査症例10,529例(承認時1,287例、再審査終了時9,242例)中副作用が報告されたのは154例(1.46%)であった。主な副作用は振戦73件(0.69%)、動悸50件(0.47%)、頭痛20件(0.19%)等であった。また、臨床検査値においては特に一定の傾向を示す変動は認められていない。

重大な副作用

β2刺激剤により重篤な血清カリウム値の低下が報告されている。また、β2刺激剤による血清カリウム値の低下作用は、キサンチン誘導体、ステロイド剤及び利尿剤の併用により増強することがあるので、重症喘息患者では特に注意すること。さらに、低酸素血症は血清カリウム値の低下が心リズムに及ぼす作用を増強することがある。このような場合には、血清カリウム値をモニターすることが望ましい。

その他の副作用

循環器
0.1〜5%未満
動悸
循環器
0.1%未満
顔のほてり、頻脈、胸痛
精神神経系
0.1〜5%未満
振戦、頭痛
消化器
0.1%未満
口渇、嘔気、嘔吐、腹痛、食欲不振、胃部不快感、便秘
過敏症注)
0.1%未満
発疹
**過敏症注)
頻度不明
そう痒症、蕁麻疹
その他
0.1%未満
けん怠感、手指腫脹感
以上のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
注)発現した場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
[動物実験でラットに胎児骨格異常の出現頻度の増加が報告されている。]
2.
**授乳中の婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
[授乳中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ウサギ)で母乳中へ移行することが報告されている。]

臨床検査結果に及ぼす影響

本剤はアレルゲンによる皮膚反応に抑制的に作用する場合があるので、注意すること。

適用上の注意

薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]

薬物動態

1.
吸収・代謝・排泄
健康成人にフェノテロール臭化水素酸塩5mgを経口投与した場合、速やかに吸収され、約2時間で最高血中濃度約40ng/mLに達する。血中濃度の半減期は約7時間であり、48時間で尿中に約39%、糞中に約40%が排泄される。1)
健康成人に経口投与した場合、代謝は速やかで、主代謝産物は硫酸抱合体である。2)
[参考:1)、2)は外国人でのデータ]
2.
分布(参考)
経口投与した場合、消化管のほか、腎、肝、肺、気管に高濃度に分布するが、中枢神経系へはほとんど移行しなかった(ラット3)、マウス1)、ウサギ4))。乳汁中への移行は若干みられた(ウサギ3))が、胎児への移行は極めてわずかであった(モルモット5))。

臨床成績

気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫を対象とした二重盲検比較試験の結果、本剤の有用性が認められた。これら二重盲検比較試験を含む臨床試験が国内93施設、総計1,289例について実施された。承認された効能・効果において、効果判定がなされた982例での有効率(有効以上)は51.7%であった。

薬効薬理

フェノテロールの薬効薬理作用の主体は、β2アドレナリン受容体刺激による気管支平滑筋弛緩作用(気管支拡張作用)である。
(1)
気管支拡張作用
1)
摘出気管支平滑筋標本(モルモット6))において、イソプロテレノール、サルブタモールよりも強い弛緩作用を示す。成人気管支喘息患者に吸入投与した場合、イソプロテレノールよりも強い気管支拡張作用を示すことが認められている。7)
2)
生体位(イヌ8))において、イソプロテレノール、サルブタモールに比べ、作用持続時間は長い。成人気管支喘息患者に吸入投与した場合、吸入直後より効果が発現し7)、作用は8時間以上持続することが認められている。9)
(2)
β2アドレナリン受容体への選択性
摘出標本(モルモット6,8))および生体位(モルモット8))において、気管(気管支)拡張作用(β2アドレナリン受容体刺激作用)は、心拍動数増加作用(β1アドレナリン受容体刺激作用)に比べ強く、β2アドレナリン受容体に対する選択性は高い。
(3)
その他の作用
1)
抗アレルギー作用
抗原-抗体反応による感作ヒト肺組織からSRS-Aの遊離10)、および気管支喘息患児白血球からのヒスタミン遊離を抑制することが認められている。11)なお、気管支喘息患児に経口投与した場合、ハウスダストによる皮膚反応が抑制されることが認められている。12)
2)
実験的喘息防御作用
成人気管支喘息患者におけるヒスタミン、アセチルコリン、セロトニン誘発喘息13)および成人気管支喘息患者のアレルゲン14)誘発喘息に対し、吸入投与した場合、緩解作用を示すことが認められている。
また、気管支喘息患児の運動負荷喘息に対しても、吸入投与した場合、緩解作用を示すことが認められている。15)
3)
気道線毛運動亢進作用
摘出気道標本において、線毛運動亢進作用を示す(ラット16))。成人閉塞性気管支疾患患者に吸入投与した場合、気道粘液クリアランス速度の増大が認められている。17)
4)
呼吸筋疲労改善作用
吸気抵抗の負荷により生じた横隔膜の筋疲労に対し、筋収縮力の回復が認められている(イヌ18))。
また、慢性閉塞性肺疾患患者に経口投与した場合、呼吸筋の筋収縮力の改善が認められている。19)

有効成分に関する理化学的知見

一般名
フェノテロール臭化水素酸塩(JAN)
Fenoterol Hydrobromide(JAN)
Fenoterol(INN)
化学名
(R*,R*)-1-(3,5-dihydroxyphenyl)-2-[1-(4-hydroxy-benzyl)ethylamino]ethanol hydrobromide
化学構造式
raster
分子式
C17H21NO4・HBr
分子量
384.26
性状
・白色の結晶性の粉末である。
・メタノールに溶けやすく、水又はエタノール(95)にやや溶けやすく、ギ酸にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
・本品の水溶液(1→25)は旋光性がない。
・本品1.0gを水25mLに溶かした液のpHは4.2〜5.2である。
融点
約230℃(分解)
分配係数
4.8×10-1(pH7、n-オクタノール/水)

包装

*ベロテック錠2.5mg:100錠(10錠×10)PTP

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
Rominger K L et al:Arzneimittelforschung22:1190,1972
2)
Buchelt L et al:Medical Proceedings Mediese Bydraes18:15,1972
3)
Meiβner J et al:Arzneimittelforsch24:1213,1974
4)
Kojima S et al:応用薬理20:55,1980
5)
Kords H:Z Geburtshife Perinatol179:30,1975
6)
柳川孝生ほか:応用薬理20:415,1980
7)
滝島 任ほか:臨牀と研究53:197,1976
8)
Giles R E et al:J Pharmacol Exp Ther186:472,1973
9)
Riedel-Dibbern E et al:Int J Clin Pharmacol Suppl4:129,1972
10)
Hughes J M et al:Eur J Pharmacol95:239,1983
11)
富田有祐ほか:臨床薬理12:209,1981
12)
西間三馨ほか:小児科臨床37:1911,1984
13)
Benjamin C:Medical Proceedings Mediese Bydraes18:35,1972
14)
Woitowitz H J et al:Respiration29:549,1972
15)
永倉俊和ほか:アレルギー30:335,1981
16)
Iravani J et al:Int J Clin Pharmacol Beiheft4:20,1972
17)
Felix R et al:Prax Pneumol32:777,1978
18)
鈴木俊介:Am Rev Respir Dis137:1048,1988
19)
鈴木俊介:呼吸7:202,1988

文献請求先

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
DIセンター
〒141-6017 東京都品川区大崎2丁目1番1号 ThinkPark Tower
フリーダイヤル:0120-189-779
(受付時間)9:00〜18:00
(土・日・祝日・弊社休業日を除く)

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
東京都品川区大崎2丁目1番1号