ドミン錠0.4
作成又は改訂年月
**
2014年11月改訂
(第9版)
*
2013年8月改訂
日本標準商品分類番号
871169
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
2008年6月
薬効分類名
パーキンソン病治療剤
承認等
販売名
ドミン錠0.4
販売名コード
1169009F1020
承認・許可番号
承認番号
8AMY-158
商標名
Domin Tablets 0.4
薬価基準収載年月
1996年6月
販売開始年月
1996年6月
貯法・使用期限等
貯法
気密容器、遮光保存
使用期限
外箱に使用期限を表示
規制区分
劇薬
**処方箋医薬品
注)
注)注意−医師等の処方箋により使用すること
組成
成分・含量
1錠中タリペキソール塩酸塩 0.4mg
添加物
D-マンニトール、結晶セルロース、ステアリン酸
性状
剤形
白色の素錠(割線)
外形
直径
6mm
厚さ
2.4mm
重さ
0.09g
識別コード
一般的名称
タリペキソール塩酸塩製剤
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
[動物(ラット)を用いた生殖・発生毒性試験で、出生児体重の低下及び胎児体重の低下が認められている。]
2.
本剤の成分又はクロニジン塩酸塩に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果/用法・用量
効能・効果
パーキンソン病
用法・用量
通常、成人にはタリペキソール塩酸塩として1日1回0.2mg又は0.4mgを夕食後に経口投与から始め、経過を観察しながら1週間毎に1日量として0.4mgずつ漸増し、維持量(標準1日1.2mg〜3.6mg)を定める。1日量がタリペキソール塩酸塩として0.8mgの場合は2回に分けて朝食後及び夕食後に、1.2mg以上の場合は3回に分けて毎食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
低血圧症の患者
[血圧低下がみられることがある。]
2.
てんかん又はその既往歴のある患者
[発作を誘発又は悪化させるおそれがある。]
3.
アルコール依存又はその既往歴のある患者
[アルコールとの相互作用で鎮静作用が増強されるおそれがある。]
4.
薬物依存又はその既往歴のある患者
[依存性薬物の作用を増強するおそれがある。]
5.
レイノー病の患者
[末
しょう
血管障害を悪化させるおそれがある。]
6.
幻覚、妄想、せん妄、興奮、イライラ感、不安、悪夢(以下、幻覚、妄想等)の精神症状又はそれらの既往歴のある患者
[幻覚、妄想等が増悪又は発現し易くなることがある。臨床試験における発現率:37.1%(23例/62例)]
7.
重篤な心疾患、腎疾患、肝疾患、肺疾患及び内分泌機能障害又はそれらの既往歴のある患者
[副作用が発現し易くなるおそれがある。]
8.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
9.
Yahr重症度が高い患者(
IV
度以上)
[Yahr重症度が高くなるに従い、他の抗パーキンソン剤を併用することが多くなるため、幻覚、妄想等の副作用が発現し易くなることがある。臨床試験における発現率:19.5%(23例/118例)]
重要な基本的注意
1.
本剤の投与は、少量(1日0.2mg又は0.4mg)から開始し、観察を十分に行い、特に幻覚、妄想等の精神神経系の副作用(「副作用」の項参照)に注意し、慎重に維持量(標準1日1.2mg〜3.6mg)まで増量すること。
2.
臨床試験においては、幻覚、妄想等の副作用が発現し易いことが認められている(「副作用」の項参照)。
また、以下の患者では幻覚、妄想等の副作用の発現率が高い傾向にあるので、投与に際しては十分注意すること。
(1)
幻覚、妄想等の既往歴のある患者(「慎重投与」の項参照)
(2)
高齢者(「慎重投与」及び「高齢者への投与」の項参照)
(3)
Yahr重症度が高い患者(
IV
度以上)(「慎重投与」の項参照)
(4)
他の抗パーキンソン剤 (レボドパ、抗コリン剤、塩酸アマンタジン、ドロキシドパ)を使用している患者(「相互作用」の項参照)
3.
幻覚、妄想等の副作用(「副作用」の項参照)があらわれた場合には、減量又は投与を中止するとともに、必要に応じ抗精神病薬を使用する等適切な処置を行うこと。
4.
本剤の減量・中止が必要な場合は、漸減すること。
[急激な減量又は中止により、発熱、意識障害、無動無言、高度の筋硬直、不随意運動、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗、血清CK(CPK)の上昇等を症状とするSyndrome malin(悪性症候群)があらわれることがある。]
5.
前兆のない突発的睡眠、傾眠、注意力・集中力・反射機能等の低下、ふらつき、めまい及び起立性低血圧がみられることがあり、突発的睡眠等により自動車事故を起こした例が報告されている。突発的睡眠を起こした症例の中には、傾眠や過度の眠気のような前兆を認めなかった例が報告されている。患者には本剤の突発的睡眠及び傾眠等についてよく説明し、自動車の運転、機械の操作、高所作業等危険を伴う作業に従事させないよう注意すること。
6.
*レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等にこのような衝動制御障害の症状について説明すること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
降圧作用を有する薬剤
臨床症状・措置方法
血圧低下がみられることがある。
機序・危険因子
機序は明らかではないが、本剤との併用により降圧作用増強の可能性が考えられる。
薬剤名等
アルコール
臨床症状・措置方法
鎮静作用が増強されるおそれがある。
機序・危険因子
機序は明らかではないが、本剤との併用により鎮静作用増強の可能性が考えられる。
薬剤名等
フェノチアジン系薬剤、ブチロフェノン系薬剤
臨床症状・措置方法
本剤の作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
本剤との併用により両薬剤の作用が拮抗するおそれがある。
薬剤名等
抗パーキンソン剤(レボドパ、抗コリン剤、塩酸アマンタジン、ドロキシドパ)
臨床症状・措置方法
幻覚、妄想等の副作用が増強されることがある。
機序・危険因子
臨床試験における発現率は16.8%(66例/392例)であった。
副作用
副作用等発現状況の概要
臨床試験
調査症例490例中、副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が報告されたのは257例(52.45%)であった。主な副作用は傾眠96件(19.59%)、幻覚58件(11.84%)、悪心48件(9.80%)、胃部不快感41件(8.37%)等であった。
使用成績調査
調査症例3,212例中、副作用が報告されたのは1,041例(32.41%)であった。主な副作用は傾眠468件(14.57%)、悪心150件(4.67%)、幻覚136件(4.23%)、嘔吐73件(2.27%)等であった。(再審査終了時)
重大な副作用
1.
突発的睡眠(0.1%未満)
前兆のない突発的睡眠があらわれることがあるので、このような場合には、減量、休薬又は投与中止等の適切な処置を行うこと。
2.
Syndrome malin(悪性症候群)(0.1%未満)
本剤の急激な減量又は中止により、悪性症候群があらわれることがある。観察を十分に行い、発熱、意識障害、無動無言、高度の筋硬直、不随意運動、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗、血清CK(CPK)の上昇等があらわれた場合には悪性症候群の症状である可能性があるため、再投与後、漸減し、体冷却、水分補給等の適切な処置を行うこと。
3.
幻覚(5%以上)、妄想(0.1〜5%未満)、せん妄(0.1〜5%未満)
幻覚、妄想、せん妄があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、減量又は投与を中止するとともに、必要に応じ抗精神病薬を使用する等適切な処置を行うこと。
その他の副作用
消化器
5%以上
悪心
消化器
0.1〜5%未満
食欲不振、胃部不快感、嘔吐、口渇、便秘、心窩部痛、胸やけ
消化器
0.1%未満
口内炎
精神神経系
注)
5%以上
傾眠
精神神経系
注)
0.1〜5%未満
興奮、不安、イライラ感、悪夢、ジスキネジア、不眠、
けん
怠感、疲労感、頭痛、頭重感、ぼんやり、下肢の異常感覚
精神神経系
注)
0.1%未満
四肢
けん
怠感
精神神経系
注)
頻度不明
病的性欲亢進
循環器
0.1〜5%未満
ふらつき、めまい、起立性低血圧、ほてり、胸部不快感、動悸、立ちくらみ
循環器
0.1%未満
指先冷感、顔面蒼白
肝臓
0.1〜5%未満
GOT上昇、GPT上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇
腎臓
0.1%未満
クレアチニン上昇
血液
0.1〜5%未満
赤血球数減少
血液
0.1%未満
白血球数減少、血色素量減少
皮膚
0.1〜5%未満
発疹
皮膚
0.1%未満
発赤、網状皮斑
その他
0.1〜5%未満
プロラクチン分泌抑制、成長ホルモン分泌異常、浮腫、CK(CPK)上昇、冷汗、視力異常、四肢のふるえ
その他
0.1%未満
寒気、眼瞼痙攣、目の乾燥感、背痛、舌がヒリヒリする
以上のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
注)興奮、不安、イライラ感、悪夢が発現した場合には、減量又は投与を中止する等適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
臨床試験において高齢者に幻覚、妄想等の副作用の発現が高い傾向が認められているので(臨床試験における発現率:20.5%(42例/205例))、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
なお、これらの副作用があらわれた場合には、減量又は投与を中止するとともに、必要に応じ抗精神病薬を使用する等適切な処置を行うこと。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[動物(ラット)を用いた生殖・発生毒性試験で次のことが認められている。]
(1)
受胎能及び一般生殖試験(Seg.
I
)(0.5mg/kg)で出生児体重の低下が認められている。
(2)
器官形成期投与試験(0.3mg/kg)で胎児体重の低下が認められている。
(3)
周産期及び授乳期投与試験(0.5mg/kg)で出生児体重の低下が認められている。
2.
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には、授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
薬物動態
1.
吸収
健康成人に食後経口投与した場合、速やかに吸収され約2時間で最高血漿中濃度に達する。血漿中濃度消失半減期は約5時間である
1)
。
2.
代謝
健康成人に経口投与した場合の主代謝産物はN−オキシド体及び脱アリル化体である
2,3)
。
[参考:2)は外国人でのデータ]
3.
排泄
健康成人に経口投与した場合、120時間までに尿中に約85%、糞中に約6%が排泄される
4)
。
[参考:4)は外国人のデータ]
4.
分布(参考)
経口投与した場合、消化管の他に腎臓、肝臓、唾液腺、膵臓、副腎、肺及び脾臓で高濃度であり、脳内では全体に広く分布した。胎児への移行は少なく、乳汁中にわずかに移行した(ラット
5,6,7)
)。
臨床成績
パーキンソン病患者(若年性パーキンソニズムを含む)を対象とした二重盲検比較試験
8)
を含む国内延べ170施設において実施された臨床試験
9〜16)
の結果、標準維持量内の効果判定対象者数は439例で、臨床試験成績は次のとおりであった。
投与対象:パーキンソン病(若年性パーキンソニズムを含む)
有効例数/効果判定例数
中等度改善以上:223/439
軽度改善以上:367/439
有効率(%)
中等度改善以上:50.8
軽度改善以上:83.6
薬効薬理
1.
作用機序
本剤は線条体シナプス後膜のドパミンD
2
受容体を選択的に刺激することにより、抗パーキンソン作用を発現すると考えられる(マーモセット
17)
、ラット
18,19)
)。
2.
パーキンソン病様症状改善作用
(1)
MPTP誘発症状改善作用
MPTP(1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine)誘発症状を用量依存的に改善した(マーモセット
17)
、アカゲザル
18)
)。
(2)
抗振戦作用
中脳片側内腹側被蓋野損傷による自発振戦(カニクイザル
20)
)及びハルマリン誘発振戦(ラット
21)
)に対し、抗振戦作用を示した。
(3)
「無動・固縮」に対する改善作用
レセルピン処置後の無動・固縮状態を改善した(マウス
17)
、ラット
21)
)。
3.
線条体シナプス後膜のD
2
受容体刺激作用
(1)
片側黒質破壊モデルにおいて、用量依存的に回転行動を誘発した(ラット
22)
)。
(2)
黒質緻密層よりドパミン性の神経支配を受けている線条体尾状核部において、自発発火を用量依存的に増加させた(ラット
19)
)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
タリペキソール塩酸塩(JAN)
Talipexole Hydrochloride(JAN)
化学名
6-allyl-2-amino-5,6,7,8-tetrahydro-4
H
-thiazolo[4,5-
d
]azepine dihydrochloride
化学構造式
分子式
C
10
H
15
N
3
S・2HCl
分子量
282.24
性状
・白色〜微黄色の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがある。
・ギ酸に極めて溶けやすく、水に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)に溶けにくく、アセトニトリル、無水酢酸又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
・本品1.0gに水10mLを加えて溶かした水溶液のpHは2.5〜2.7である。
融点
約240℃(分解)
分配係数
1.58(pH7,N-オクタノール/水)
包装
ドミン錠0.4:100錠(10錠×10)PTP
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
東 純一ほか:薬理と治療
20
:4947,1992
2)
H
a
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3)
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(2),99,1994
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柴田 勉ほか:社内資料
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Richter I:社内資料
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中西孝雄ほか:臨床評価
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:59,1993
9)
木下利彦ほか:新薬と臨牀
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:1338,1993
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Kohno Y et al:Eur J Pharmacol
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広中直行:社内資料
22)
広中直行ほか:日薬理誌
112
:257,1998
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
DIセンター
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