ジオトリフ錠20mg/ジオトリフ錠30mg/ジオトリフ錠40mg/ジオトリフ錠50mg


作成又は改訂年月

**2016年9月改訂(第5版)
2016年4月改訂

日本標準商品分類番号

874291

日本標準商品分類番号等

国際誕生年月
2013年7月

薬効分類名

抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤

承認等

販売名
ジオトリフ錠20mg

販売名コード

4291030F1020

承認・許可番号

承認番号
22600AMX00017000
商標名
Giotrif Tablets 20mg

薬価基準収載年月

2014年4月

販売開始年月

2014年5月

貯法・使用期限等

貯法
室温保存
使用期限
外箱に表示

規制区分

劇薬
処方箋医薬品注)
注)注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

成分・含量
アファチニブマレイン酸塩29.56mg(アファチニブとして20mg)
添加物
乳糖水和物、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール400、酸化チタン、タルク、ポリソルベート80

性状

剤形
白色〜わずかに帯黄白色のフィルムコート錠
外形
raster
直径
約8.1mm
厚さ
約3.6mm
重さ
約185mg
識別コード
raster
販売名
ジオトリフ錠30mg

販売名コード

4291030F2027

承認・許可番号

承認番号
22600AMX00018000
商標名
Giotrif Tablets 30mg

薬価基準収載年月

2014年4月

販売開始年月

2014年5月

貯法・使用期限等

貯法
室温保存
使用期限
外箱に表示

規制区分

劇薬
処方箋医薬品注)
注)注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

成分・含量
アファチニブマレイン酸塩44.34mg(アファチニブとして30mg)
添加物
乳糖水和物、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール400、酸化チタン、タルク、青色2号アルミニウムレーキ、ポリソルベート80

性状

剤形
濃青色のフィルムコート錠
外形
raster
直径
約9.1mm
厚さ
約4.1mm
重さ
約277mg
識別コード
raster
販売名
ジオトリフ錠40mg

販売名コード

4291030F3023

承認・許可番号

承認番号
22600AMX00019000
商標名
Giotrif Tablets 40mg

薬価基準収載年月

2014年4月

販売開始年月

2014年5月

貯法・使用期限等

貯法
室温保存
使用期限
外箱に表示

規制区分

劇薬
処方箋医薬品注)
注)注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

成分・含量
アファチニブマレイン酸塩59.12mg(アファチニブとして40mg)
添加物
乳糖水和物、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール400、酸化チタン、タルク、青色2号アルミニウムレーキ、ポリソルベート80

性状

剤形
淡青色のフィルムコート錠
外形
raster
直径
約10.1mm
厚さ
約4.5mm
重さ
約368mg
識別コード
raster
販売名
ジオトリフ錠50mg

販売名コード

4291030F4020

承認・許可番号

承認番号
22600AMX00020000
商標名
Giotrif Tablets 50mg

薬価基準収載年月

2014年4月

販売開始年月

2014年5月

貯法・使用期限等

貯法
室温保存
使用期限
外箱に表示

規制区分

劇薬
処方箋医薬品注)
注)注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

成分・含量
アファチニブマレイン酸塩73.9mg(アファチニブとして50mg)
添加物
乳糖水和物、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール400、酸化チタン、タルク、青色2号アルミニウムレーキ、ポリソルベート80

性状

剤形
濃青色のフィルムコート錠
外形
raster
直径
長径約15.1mm
短径約7.1mm
厚さ
約5.2mm
重さ
約460mg
識別コード
raster

一般的名称

アファチニブマレイン酸塩製剤

警告

1.
本剤は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、添付文書を参照して、適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性(特に、間質性肺疾患の初期症状、服用中の注意事項、死亡に至った症例があること等に関する情報)を十分に説明し、同意を得てから投与すること。
2.
本剤の投与により間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例が報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。
[「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照]

禁忌

(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果/用法・用量

効能・効果

EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌

効能・効果に関連する使用上の注意

1.
EGFR遺伝子変異検査を実施すること。EGFR遺伝子変異不明例の扱い等を含めて、本剤を投与する際は、日本肺癌学会の「肺癌診療ガイドライン」等の最新の情報を参考に行うこと。
2.
本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
3.
がん化学療法歴等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うこと。

用法・用量

通常、成人にはアファチニブとして1日1回40mgを空腹時に経口投与する。
なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回50mgまで増量できる。

用法・用量に関連する使用上の注意

1.
副作用が発現した場合は、症状、重症度等に応じて、以下の基準を考慮し、休薬、減量又は中止すること。
[「重大な副作用」の項参照]
副作用のグレード注1):グレード1又は2
休薬及び減量基準:同一投与量を継続
副作用のグレード注1):グレード2(症状が持続的注2)又は忍容できない場合)若しくはグレード3以上
休薬及び減量基準:症状がグレード1以下に回復するまで休薬する。回復後は休薬前の投与量から10mg減量して再開する注3)、4)
注1)グレードはNCI-CTCAE 3.0版による。
注2)48時間を超える下痢又は7日間を超える皮膚障害
注3)1日1回20mg投与で忍容性が認められない場合は、投与中止を考慮すること。
注4)一旦減量した後は、増量を行わないこと。
2.
1日1回40mgで3週間以上投与し、下痢、皮膚障害、口内炎及びその他のグレード2以上の副作用が認められない場合は1日1回50mgに増量してもよい。
3.
食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが低下するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の1時間前から食後3時間までの間の服用は避けること。
[「薬物動態」の項参照]
4.
他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)
1.
間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者
[間質性肺疾患が増悪し、死亡に至る可能性がある。(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)]
2.
重度の肝機能障害のある患者
[安全性は確立していない。(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」、「薬物動態」の項参照)]
3.
*重度の腎機能障害のある患者
[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。(「薬物動態」の項参照)]
4.
心不全症状のある患者又はその既往歴のある患者
[症状が悪化するおそれがある。(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)]
5.
左室駆出率が低下している患者
[症状が悪化するおそれがある。(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)]

重要な基本的注意

1.
間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、必要に応じて動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)等の検査を行うこと。
2.
ALT(GPT)、AST(GOT)、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
3.
心不全等の重篤な心障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には患者の心機能を確認すること。また、本剤投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率の変動を含む)を十分に観察すること。

相互作用

本剤はP-糖蛋白(P-gp)の基質である。また、in vitro試験において、本剤は乳癌耐性蛋白(BCRP)の基質であること、及び本剤の代謝への肝薬物代謝酵素P-450の関与は低いことが示唆された。
[「薬物動態」の項参照]

併用注意

(併用に注意すること)
薬剤名等
P-糖蛋白阻害剤(リトナビル、イトラコナゾール、ベラパミル等)
臨床症状・措置方法
本剤20mgの投与1時間前にP-糖蛋白の阻害剤であるリトナビルを投与したときの本剤のAUC0-∞及びCmaxは48%及び39%上昇した1)。一方、本剤40mgとリトナビルを同時併用したとき、AUC0-∞及びCmaxの上昇はそれぞれ19%及び4%、本剤投与6時間後にリトナビルを併用投与したときにはそれぞれ11%及び5%であった2)
本剤の血中濃度が上昇し、副作用の発現頻度及び重症度が高まるおそれがあることから、P-糖蛋白阻害剤と併用する場合は、本剤投与と同時又は本剤投与後に投与すること。
機序・危険因子
本剤はP-糖蛋白の基質であり、本剤服用前にP-糖蛋白阻害剤を投与すると、併用により本剤の血中濃度が上昇することがある。
薬剤名等
P-糖蛋白誘導剤(リファンピシン、カルバマゼピン、セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort)等)
臨床症状・措置方法
本剤40mg服用前にP-糖蛋白の誘導剤であるリファンピシンを投与したとき、本剤のAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ34%及び22%低下した3)
本剤の血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
本剤はP-糖蛋白の基質であり、併用により本剤の血中濃度が低下することがある。

副作用

副作用等発現状況の概要

化学療法未治療のEGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺癌患者を対象とした国際共同第III相臨床試験において、安全性評価対象229例(日本人54例を含む)中228例(99.6%)に副作用が認められ、主な副作用は、下痢218例(95.2%)、発疹141例(61.6%)、爪囲炎130例(56.8%)等であった。(承認時)
化学療法既治療の非小細胞肺癌患者を対象とした国内第I/II相臨床試験の第II相部分において、安全性評価対象62例中全例(100.0%)に副作用が認められ、主な副作用は、下痢62例(100.0%)、発疹52例(83.9%)、爪囲炎42例(67.7%)、口内炎40例(64.5%)等であった。(承認時)

重大な副作用

1.
間質性肺疾患(3.1%)
間質性肺疾患(間質性肺炎、肺浸潤、肺臓炎、急性呼吸窮迫症候群、アレルギー性胞隔炎等)があらわれることがあり、死亡に至った症例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、ステロイド治療等の適切な処置を行うこと。
2.
重度の下痢(27.3%)
重度の下痢があらわれることがある。また、重度の下痢に伴って脱水症状をきたし、急性腎不全に至った症例も報告されているので、患者の状態を十分に観察し、止瀉薬(ロペラミド等)の投与、補液等の適切な処置を行うとともに、本剤の休薬・減量又は投与中止を考慮すること。
3.
重度の皮膚障害(22.7%)
重度の発疹、ざ瘡等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には休薬・減量等の適切な処置を行うこと。なお、必要に応じて皮膚科を受診するよう患者に指導すること。
4.
肝不全(頻度不明注5))、肝機能障害(6.3%)
ALT(GPT)、AST(GOT)、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあり、肝不全により死亡に至った症例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の休薬・減量又は投与中止など、適切な処置を行うこと。
5.
心障害(0.8%)
左室駆出率低下があらわれ、心不全等の重篤な心障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
6.
**中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)、多形紅斑(頻度不明注5)
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑等の重篤な水疱性・剥脱性の皮膚障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
7.
消化管潰瘍、消化管出血(頻度不明注5)
消化管潰瘍、消化管出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、内視鏡、腹部X線、CT等の必要な検査を行い、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
8.
急性膵炎(頻度不明注5)
急性膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、腹痛、血清アミラーゼ値の上昇等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

皮膚及び皮下組織障害注6)
10%以上又は頻度不明
全身性発疹・斑状丘疹性及び紅斑性皮疹(88.3%)、爪囲炎(74.2%)、皮膚乾燥(38.3%)、ざ瘡(19.5%)、そう痒症(10.9%)
皮膚及び皮下組織障害注6)
1%以上10%未満
爪の障害、手掌・足底発赤知覚不全症候群、皮膚剥脱、皮膚亀裂、ざ瘡様皮膚炎、ひび・あかぎれ、過角化、嵌入爪、色素沈着障害、皮膚色素過剰、皮膚潰瘍、脱毛症、多毛症
皮膚及び皮下組織障害注6)
1%未満
膿痂疹、脂漏性皮膚炎、紅斑、後天性魚鱗癬
筋骨格系及び結合組織障害
1%以上10%未満
筋痙縮
筋骨格系及び結合組織障害
1%未満
背部痛、筋力低下、肋骨痛、肩痛、筋肉痛、シェーグレン症候群、開口障害
神経系障害
10%以上又は頻度不明
味覚異常(16.4%)
神経系障害
1%以上10%未満
頭痛、感覚鈍麻
神経系障害
1%未満
振戦、末梢性感覚ニューロパチー
眼障害注7)
10%以上又は頻度不明
結膜炎(14.8%)
眼障害注7)
1%以上10%未満
角膜炎、眼乾燥、眼脂、白内障、眼瞼炎、睫毛乱生
眼障害注7)
1%未満
硝子体剥離、結膜出血、角膜びらん、後天性涙腺炎、眼痛、眼瞼障害、虹彩毛様体炎、網膜変性、霧視
耳及び迷路障害
1%未満
耳鳴
精神障害
1%以上10%未満
不眠症
精神障害
1%未満
不安、激越
胃腸障害
10%以上又は頻度不明
下痢(98.4%)、口内炎(71.1%)、悪心(28.9%)、口唇炎(26.6%)、嘔吐(20.3%)
胃腸障害
1%以上10%未満
舌炎、歯肉炎、口唇症、口内乾燥、胃炎、腹部膨満、上腹部痛、腹痛、消化不良、肛門周囲痛、肛門の炎症、痔核
胃腸障害
1%未満
口唇乾燥、口唇腫脹、食道炎、腹部不快感、心窩部不快感、腸炎、小腸炎、大腸炎、肛門周囲炎、便秘
生殖系及び乳房障害
1%未満
萎縮性外陰腟炎
代謝及び栄養障害
10%以上又は頻度不明
食欲減退(46.9%)
代謝及び栄養障害
1%以上10%未満
脱水、低カリウム血症、高尿酸血症
代謝及び栄養障害
1%未満
低ナトリウム血症
心臓障害
1%未満
上室性期外収縮
血管障害
1%以上10%未満
高血圧
血管障害
1%未満
低血圧、ほてり、血栓症
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
10%以上又は頻度不明
鼻出血(23.4%)、鼻の炎症(14.1%)
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
1%以上10%未満
発声障害、鼻漏、しゃっくり、口腔咽頭不快感
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
1%未満
鼻閉、鼻乾燥、口腔咽頭痛、湿性咳嗽
腎及び尿路障害
10%以上又は頻度不明
腎機能障害注5)
腎及び尿路障害
1%以上10%未満
蛋白尿、尿中血陽性
腎及び尿路障害
1%未満
排尿困難、血尿
感染症及び寄生虫症
1%以上10%未満
膀胱炎、蜂巣炎、毛包炎、感染症(皮膚、尿路、鼻、咽頭、気管支、耳、爪)、真菌感染症(皮膚、足部)
感染症及び寄生虫症
1%未満
ウイルス感染、帯状疱疹、鼓膜炎、敗血症
血液及びリンパ系障害
1%以上10%未満
白血球減少症、リンパ球減少症、好中球減少症、好酸球増加症、貧血
血液及びリンパ系障害
1%未満
鉄欠乏性貧血
一般・全身障害及び投与部位の状態
10%以上又は頻度不明
疲労(25.0%)、粘膜の炎症(20.3%)
一般・全身障害及び投与部位の状態
1%以上10%未満
発熱、倦怠感、浮腫、末梢性浮腫、粘膜乾燥、粘膜障害
一般・全身障害及び投与部位の状態
1%未満
胸部不快感、悪寒、顔面浮腫、炎症
臨床検査
10%以上又は頻度不明
体重減少(25.8%)、肝機能検査値異常(AST(GOT)、ALT(GPT)上昇等)(11.7%)
臨床検査
1%以上10%未満
血中クレアチニン増加、総蛋白減少、尿中白血球陽性、CK(CPK)上昇、血中ビリルビン増加、血中乳酸脱水素酵素増加、血中尿素増加、血中アルブミン減少
臨床検査
1%未満
アミラーゼ増加、トロポニンT増加、血中アルカリホスファターゼ増加、CK(CPK)-MB上昇、心電図T波逆転
傷害、中毒及び処置合併
1%未満
挫傷、創し開
非小細胞肺癌患者を対象とする臨床試験において日本人患者に認められた発現頻度に基づいて記載した。
*注5)海外臨床試験にて報告された副作用あるいは国内自発報告であるため頻度不明
注6)必要に応じて皮膚科を受診するよう患者に指導すること。
注7)眼に異常があらわれた場合には、直ちに眼科的検査を行うなど適切な処置を行うこと。

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
[「薬物動態」の項参照]

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、妊娠可能な婦人には、適切な避妊を行うよう指導すること。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験で黄体数、着床数及び生存胎児数の減少並びに着床後胚損失の増加(ラット)、胎児体重の減少、矮小児、四肢の弯曲、大動脈弓及び右又は左頚動脈における過剰血管並びに矮小精巣等の変異(ウサギ)が認められている。]
2.
授乳中の婦人には投与することを避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。
[動物実験で乳汁中へ移行することが認められている(ラット)。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

過量投与

海外の第I相臨床試験において、本剤160mgを1日1回3日間及び本剤100mgを1日1回14日間経口投与したときの主な副作用は、皮膚症状(発疹/ざ瘡)と消化管症状(特に下痢)であった。本剤360mgを単回経口投与したときの主な副作用は、悪心、嘔吐、無力症、浮動性めまい、腹痛、アミラーゼ増加であった。
本剤の過量投与に対する特異的な解毒剤はない。過量投与が認められた場合には、本剤を休薬し、必要に応じて適切な処置を行うこと。

適用上の注意

薬剤交付時
(1)
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
(2)
本剤は湿気と光に不安定なため、未使用の場合はアルミピロー包装のまま保存し、開封後は湿気と光を避けて保存すること。また、服用直前にPTPシートから取り出すよう指導すること。

その他の注意

細菌を用いた復帰突然変異試験において、陽性が認められているが、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験、Mutaマウスを用いた遺伝子突然変異試験並びにラットを用いた小核試験及びコメットアッセイでは陰性であった。

薬物動態

1.
血中濃度(日本人のデータ)
(1)
単回投与及び反復投与
日本人非小細胞肺癌患者12例に本剤20、40、50mgを空腹時(服薬前2時間及び服薬後1時間は絶食)単回経口投与若しくは1日1回28日間反復経口投与したときの血漿中未変化体の薬物動態パラメータ及び血漿中未変化体濃度推移を以下に示す。AUC0-∞及びCmaxは、本剤20〜50mgの範囲で用量比をわずかに上回って増加する。投与開始後8日目には定常状態に到達していると考えられ4)、本剤の累積係数はAUC0-∞では2.8、Cmaxでは2.1であった。
本剤経口投与後のアファチニブの薬物動態パラメータ
単回投与
幾何平均値(% gCV)a):20mg N=3
AUC0-24[ng・h/mL]:147(84.5)
Cmax[ng/mL]:12.4(101)
tmaxb)[h]:3.87(3.00-4.98)
t1/2[h]:21.3(63.1)
幾何平均値(% gCV)a):40mg N=3
AUC0-24[ng・h/mL]:299c)(6.01)
Cmax[ng/mL]:18.9(45.8)
tmaxb)[h]:4.05(2.00-8.95)
t1/2[h]:37.9c)(24.9)
幾何平均値(% gCV)a):50mg N=6
AUC0-24[ng・h/mL]:539(59.0)
Cmax[ng/mL]:44.4(60.6)
tmaxb)[h]:3.00(2.02-4.95)
t1/2[h]:14.8(20.0)
反復投与
幾何平均値(% gCV)a):20mg N=3
AUCτ, ssd)[ng・h/mL]:409(16.5)
Cmax, ss[ng/mL]:26.9(24.9)
tmax, ssb)[h]:3.97(2.92-4.95)
t1/2, ss[h]:38.5(14.4)
幾何平均値(% gCV)a):40mg N=3
AUCτ, ssd)[ng・h/mL]:1240(9.73)
Cmax, ss[ng/mL]:83.3(30.1)
tmax, ssb)[h]:2.97(1.98-4.02)
t1/2, ss[h]:40.4(11.9)
幾何平均値(% gCV)a):50mg N=5
AUCτ, ssd)[ng・h/mL]:1010(71.5)
Cmax, ss[ng/mL]:66.8(71.6)
tmax, ssb)[h]:3.00(0.983-5.03)
t1/2, ss[h]:33.5(22.2)
a)gCVは幾何変動係数を表す
b)中央値(最小値−最大値)
c)N=2
d)τは24時間、ssは定常状態のパラメータを表す
raster
図 本剤経口投与後の血漿中アファチニブ濃度推移(算術平均±SD)
(2)
食事の影響(外国人のデータ)
固形癌患者に本剤40mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、空腹時投与に比べてAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ39及び50%低下した5)
2.
分布
ヒトにおけるin vitro血漿蛋白結合率は95%であった6)。本剤はヒト血清アルブミン及びα1-酸性糖蛋白(AAG)と結合し、AAGとの結合は蛋白質濃度に依存していた7)。また、ヒトin vitroにおける14C標識アファチニブの血球移行(Cc/Cp)は、1.02〜2.21であった6)。また、in vitroにおいて本剤はP-糖蛋白(P-gp)及び乳癌耐性蛋白(BCRP)の基質であることが示唆されている8)〜10)
3.
代謝
アファチニブはin vivoにおいて酵素を介する酸化的代謝はほとんど受けず、血漿中の主要な代謝物は蛋白質との共有結合付加体であった11)
4.
排泄(外国人のデータ)
14C標識アファチニブ15mg溶液を健康成人に経口投与したとき、投与放射能の85.4%が糞便中に、4.3%が尿中に排泄された12)。回収された放射能の約88%(糞便中:85.6%、尿中:2.5%)が未変化体であった11)
5.
肝機能障害(外国人のデータ)
軽度(Child-Pugh分類A)又は中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害者に本剤50mgを単回経口投与したとき、健康被験者と比較して曝露量に有意な変化はみられなかった13), 14)。重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害のある患者における薬物動態は検討されていない。
6.
腎機能障害
中等度並びに重度腎機能障害被験者(各8例)に本剤40mgを単回投与した場合、腎機能正常被験者(各比較対象群に対してそれぞれ8例)に比べて中等度腎機能障害(eGFR:30〜59mL/min/1.73m2)を有する群ではAUC0-lastは22.2%(90% CI:95.7、156.0)、Cmaxは1.2%(90% CI:72.9、140.3)の上昇が認められ、重度腎機能障害(eGFR:15〜29mL/min/1.73m2)を有する群では、AUC0-lastは50.0%(90% CI:105.3、213.7)、Cmaxは21.7%(90% CI:90.8、163.2)の上昇が認められた(外国人のデータ)。
また、本剤単独投与を受けた癌患者927例(血漿中アファチニブ濃度4460時点)を対象に母集団薬物動態解析を実施し、内因性要因及び外因性要因が本剤の薬物動態に及ぼす影響を評価した13), 15)。癌患者927例のうち、軽度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス50mL/min以上80mL/min以下)は528例(2051時点)、中等度の腎機能障害患者(30mL/min以上50mL/min未満)は161例(554時点)、重度の腎障害患者(30mL/min未満)は10例(21時点)であった。クレアチニンクリアランスが79mL/min(中央値)の患者と比較して、60mL/min及び30mL/minの患者ではAUCτ, ssはそれぞれ13%及び42%の上昇、90mL/min及び120mL/minの患者ではそれぞれ6%及び20%の低下が示された。
※承認された用法・用量は、「通常、成人にはアファチニブとして1日1回40mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回50mgまで増量できる。」である。
[「用法・用量」の項参照]

臨床成績

1.
国際共同第III相臨床試験成績(LUX-Lung 3)
化学療法未治療のEGFR遺伝子変異(Exon19の欠失変異(Del19)、Exon21のL858R変異等)陽性の非小細胞肺癌(腺癌)患者を対象に、本剤40mgを1日1回空腹時(食事の1時間以上前又は食後3時間以降)投与した際の有効性及び安全性について、ペメトレキセド+シスプラチン(PEM+CDDP)の併用療法を対照として評価した。有効性評価対象例は345例(本剤群230例、PEM+CDDP群115例)であり、このうち83例(本剤群54例、PEM+CDDP群29例)が日本人であった16)
主要評価項目である独立判定委員会判定による無増悪生存期間(PFS)の中央値は、本剤群で11.1カ月、PEM+CDDP群で6.9カ月であり、本剤群のPFSはPEM+CDDP群と比較して有意に延長した(ハザード比0.58、95%信頼区間:0.43-0.78、p値=0.0004、両側層別ログランク検定)。また、EGFR遺伝子変異の種類(Del19、L858R、その他)別による部分集団解析の結果は、下記のとおりであった。
raster
図 無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線
EGFR遺伝子変異の種類別によるPFS(中央値)の結果
EGFR遺伝子変異:Del19
本剤群:13.7カ月(n=113)
PEM+CDDP群:5.6カ月(n=57)
ハザード比:0.28
95%信頼区間:0.18-0.44
EGFR遺伝子変異:L858R
本剤群:10.8カ月(n=91)
PEM+CDDP群:8.1カ月(n=47)
ハザード比:0.73
95%信頼区間:0.46-1.17
EGFR遺伝子変異:その他
本剤群:2.8カ月(n=26)
PEM+CDDP群:9.9カ月(n=11)
ハザード比:1.89
95%信頼区間:0.84-4.28
副次評価項目である全生存期間(OS)(2013年11月14日データカットオフ)の中央値は、本剤群で28.2カ月、PEM+CDDP群で28.2カ月であった(ハザード比0.88、95%信頼区間:0.66-1.17)。

薬効薬理

1.
抗腫瘍効果
本剤は、in vitro試験において、EGFRErbB1)遺伝子野生型を有する非小細胞肺癌由来H1666細胞株、EGFR遺伝子のL858R変異を有する非小細胞肺癌由来NCI-H3255細胞株及びL858R変異とT790M変異を有する非小細胞肺癌由来NCI-H1975細胞株の増殖を抑制した17), 18)
2.
作用機序
本剤は、EGFR及びEGFR変異だけではなく、ErbB受容体ファミリーに属する他の受容体HER2(ErbB2)及びErbB4(HER4)のチロシンキナーゼ活性を不可逆的に阻害し、ErbB受容体ファミリー(EGFR、HER2、ErbB3(HER3)並びにErbB4)が形成するホモ及びヘテロダイマーの活性を阻害することにより、異常シグナルを遮断し、腫瘍細胞の増殖を抑制する19)〜22)

有効成分に関する理化学的知見

一般名
アファチニブマレイン酸塩(JAN)
Afatinib Maleate(JAN)
化学名
(2E)-N-[4-(3-Chloro-4-fluoroanilino)-7-{[(3S)-oxolan-3-yl]oxy}quinazolin-6-yl]-4-(dimethylamino)but-2-enamide dimaleate
化学構造式
raster
分子式
C24H25ClFN5O3・2C4H4O4
分子量
718.08
性状
白色〜黄褐色の粉末である。本品は水又はジメチルスルホキシドに溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)に溶けにくい。
分配係数
log P=4.7(pH9以上)、log D=3.8(pH7.4)

包装

ジオトリフ錠20mg:14錠(7錠×2)PTP
ジオトリフ錠30mg:14錠(7錠×2)PTP
ジオトリフ錠40mg:14錠(7錠×2)PTP
ジオトリフ錠50mg:14錠(7錠×2)PTP

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
Jungnik A. et al.:社内資料 リトナビルとの相互作用
2)
Giessmann T. et al.:社内資料 リトナビルとの相互作用
3)
Brand T. et al.:社内資料 リファンピシンとの相互作用
4)
Sarashina A. et al.:社内資料 国内第I/II相試験(LUX-Lung 4) 薬物動態の検討(第I相)
5)
Stopfer P. et al.:社内資料 海外第I相試験 食事の影響
6)
Fuchs H.:社内資料 非臨床薬物動態試験(血漿蛋白結合)
7)
Engelmann P.:社内資料 非臨床薬物動態試験(血漿蛋白結合)
8)
Floetotto T.:社内資料 非臨床薬物動態試験(トランスポーター)
9)
Ishiguro N. et al.:社内資料 非臨床薬物動態試験(トランスポーター)
10)
Kishimoto W.:社内資料 非臨床薬物動態試験(トランスポーター)
11)
Ebner T. et al.:社内資料in vitroにおける代謝の検討
12)
Stopfer P. et al.:社内資料 臨床薬物動態試験
13)
Freiwald M. et al.:社内資料 母集団薬物動態解析
14)
Koenen R. et al.:社内資料 肝機能障害者における薬物動態の検討
15)
Freiwald M. et al.:社内資料 母集団薬物動態解析
16)
Jones H. et al.:社内資料 国際共同第III相試験(LUX-Lung 3)
17)
Solca F.:社内資料 薬効薬理の検討(EGFR変異株に対する阻害作用)
18)
Li D. et al.:Oncogene 27(34), 4702, 2008
19)
Meel Jv.:社内資料 薬効薬理の検討(受容体結合実験)
20)
Solca F.:社内資料 薬効薬理の検討(EGFR、HER2キナーゼ等に対する作用)
21)
Solca F.:社内資料 薬効薬理の検討(種々の蛋白質キナーゼに関する選択性)
22)
Solca F.:社内資料 薬効薬理の検討(HER4キナーゼアッセイ)

文献請求先

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日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
DIセンター
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