ジャディアンス錠10mg/ジャディアンス錠25mg


作成又は改訂年月

**2017年10月改訂(第4版)
2015年9月改訂

日本標準商品分類番号

873969

日本標準商品分類番号等

国際誕生年月
2014年4月

薬効分類名

選択的SGLT2阻害剤
−2型糖尿病治療剤−

承認等

販売名
ジャディアンス錠10mg

販売名コード

3969023F1023

承認・許可番号

承認番号
22600AMX01387000
商標名
Jardiance Tablets 10mg

薬価基準収載年月

2015年2月

販売開始年月

2015年2月

貯法・使用期限等

貯法
室温保存
使用期限
外箱、容器に使用期限を表示

規制区分

処方箋医薬品
(注意−医師等の処方箋により使用すること)

組成

成分・含量
1錠中
エンパグリフロジン 10mg
添加物
乳糖水和物、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、タルク、マクロゴール400、黄色三二酸化鉄

性状

剤形
淡黄色のフィルムコート錠
外形
raster
直径
9.1mm
厚さ
3.65mm
重さ
257mg
識別コード
raster
販売名
ジャディアンス錠25mg

販売名コード

3969023F2020

承認・許可番号

承認番号
22600AMX01386000
商標名
Jardiance Tablets 25mg

薬価基準収載年月

2015年2月

販売開始年月

2015年2月

貯法・使用期限等

貯法
室温保存
使用期限
外箱、容器に使用期限を表示

規制区分

処方箋医薬品
(注意−医師等の処方箋により使用すること)

組成

成分・含量
1錠中
エンパグリフロジン 25mg
添加物
乳糖水和物、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、タルク、マクロゴール400、黄色三二酸化鉄

性状

剤形
淡黄色のフィルムコート錠
外形
raster
直径
11.1×5.6mm
厚さ
3.8mm
重さ
206mg
識別コード
raster

一般的名称

エンパグリフロジン製剤

禁忌

(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡の患者
[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]
3.
重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者
[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]

効能・効果/用法・用量

効能・効果

2型糖尿病

効能・効果に関連する使用上の注意

1.
本剤は2型糖尿病と診断された患者に対してのみ使用し、1型糖尿病の患者には投与をしないこと。
2.
高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の効果が期待できないため、投与しないこと。
[「重要な基本的注意6.」、「薬物動態」の項参照]
3.
中等度腎機能障害患者では本剤の効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること。
[「重要な基本的注意6.」、「薬物動態」、「臨床成績」の項参照]

用法・用量

通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら25mg1日1回に増量することができる。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)
1.
次に掲げる患者又は状態
[低血糖を起こすおそれがある。]
(1)
脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
(2)
栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
(3)
激しい筋肉運動
(4)
過度のアルコール摂取者
2.
他の糖尿病用薬(特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤)を投与中の患者
[併用により低血糖を起こすおそれがある。(「重要な基本的注意1.」、「相互作用」、「重大な副作用」及び「臨床成績」の項参照)]
3.
脱水を起こしやすい患者(血糖コントロールが極めて不良の患者、高齢者、利尿剤併用患者等)
[本剤の利尿作用により脱水を起こすおそれがある。(「重要な基本的注意8.」、「相互作用」、「重大な副作用」、「高齢者への投与」の項参照)]
4.
*尿路感染、性器感染のある患者
[症状を悪化させるおそれがある。(「重要な基本的注意7.」の項参照)]
5.
高度肝機能障害患者
[使用経験がなく安全性が確立していない。(「薬物動態」の項参照)]
6.
中等度腎機能障害患者
[「重要な基本的注意6.及び8.」、「薬物動態」の項参照]

重要な基本的注意

1.
本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。特に、インスリン製剤又はスルホニルウレア剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。インスリン製剤又はスルホニルウレア剤による低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤と併用する場合には、これらの薬剤の減量を検討すること。
[「慎重投与」、「相互作用」、「重大な副作用」の項参照]
2.
糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等、糖尿病類似の症状(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意すること。
3.
本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。
4.
本剤投与中は、血糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、本剤を3カ月投与しても効果が不十分な場合には他の治療法への変更を考慮すること。
5.
投与の継続中に、投与の必要がなくなる場合や減量する必要がある場合があり、また、患者の不養生、感染症の合併等により効果がなくなったり、不十分となる場合があるので、食事摂取量、血糖値、感染症の有無等に留意の上、常に投与継続の可否、投与量、薬剤の選択等に注意すること。
6.
本剤投与により、血清クレアチニンの上昇又はeGFRの低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査すること。腎機能障害患者においては経過を十分に観察し、継続的にeGFRが45mL/min/1.73m2未満に低下した場合は投与の中止を検討すること。
[「慎重投与」の項参照]
7.
*尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症等の重篤な感染症に至ることがある。また、腟カンジダ症等の性器感染を起こすことがある。十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮すること。尿路感染及び性器感染の症状及びその対処方法について患者に説明すること。
[「慎重投与」、「重大な副作用」、「その他の副作用」の項参照]
8.
本剤の利尿作用により多尿・頻尿がみられることがある。また、体液量が減少することがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分行うこと。脱水、血圧低下等の異常が認められた場合は、休薬や補液等の適切な処置を行うこと。特に体液量減少を起こしやすい患者(高齢者、腎機能障害患者、利尿薬併用患者等)においては、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること。
[「慎重投与」、「相互作用」、「重大な副作用」、「その他の副作用」、「高齢者への投与」の項参照]
9.
*本剤の作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により、血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し、ケトーシスがあらわれ、ケトアシドーシスに至ることがある。著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため、以下の点に留意すること。
(1)
悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等の症状が認められた場合には、血中又は尿中ケトン体測定を含む検査を実施すること。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(2)
特に、インスリン分泌能の低下、インスリン製剤の減量や中止、過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので、観察を十分に行うこと。
(3)
患者に対し、ケトアシドーシスの症状(悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等)について説明するとともに、これらの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診するよう指導すること。
[「重大な副作用」の項参照]
10.
排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、その治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること。
11.
本剤投与による体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意すること。
12.
低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること。
[「重大な副作用」の項参照]
13.
本剤とインスリン製剤又はGLP-1受容体作動薬との併用における有効性及び安全性は検討されていない。

相互作用

本剤は投与後血漿中には主に未変化体として存在する1)が、一部はUGT2B7、UGT1A3、UGT1A8及びUGT1A9によるグルクロン酸抱合により代謝される2)(グルクロン酸抱合体として血漿中放射能の3.3〜7.4%存在する)1)。また、本剤はP-糖蛋白(P-gp)及び乳癌耐性蛋白(BCRP)の基質である3)
[「薬物動態」の項参照]

併用注意

(併用に注意すること)
薬剤名等
糖尿病用薬(スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド系薬剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、インスリン製剤等)
臨床症状・措置方法
糖尿病用薬との併用時には、低血糖が起こるおそれがある。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤による低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤と併用する場合にはスルホニルウレア剤又はインスリン製剤の減量を検討すること。
低血糖症状が認められた場合には、通常はショ糖を投与し、α-グルコシダーゼ阻害薬との併用時にはブドウ糖を投与すること。
[「重要な基本的注意」の項参照]
機序・危険因子
血糖降下作用が増強される。
薬剤名等
血糖降下作用を増強する薬剤(β遮断薬、サリチル酸剤、モノアミン酸化酵素阻害剤等)
臨床症状・措置方法
さらに血糖が低下するおそれがあるため、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序・危険因子
血糖降下作用が増強される。
薬剤名等
血糖降下作用を減弱する薬剤(アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等)
臨床症状・措置方法
血糖降下作用の減弱により血糖が上昇するおそれがあるため、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序・危険因子
血糖降下作用が減弱される。
薬剤名等
*利尿薬(チアジド系薬剤、ループ利尿薬等)
臨床症状・措置方法
利尿作用が増強されるおそれがあるため、必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること。
機序・危険因子
利尿作用が増強されるおそれがある。

副作用

副作用等発現状況の概要

国内で実施された臨床試験では、1834例中277例(15.1%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている。主な副作用は頻尿70例(3.8%)、低血糖43例(2.3%)、口渇29例(1.6%)、便秘25例(1.4%)等であった。

重大な副作用

1.
低血糖(2.3%)
他の糖尿病用薬(特にスルホニルウレア剤)との併用で低血糖が報告されている。また、他の糖尿病用薬を併用しない場合でも低血糖が報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。
[「慎重投与」、「重要な基本的注意1.」、「相互作用」、「臨床成績」の項参照]
2.
脱水(0.1%)
脱水があらわれることがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に行うこと。口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと。脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されているので、十分注意すること。
[「慎重投与」、「重要な基本的注意8.」、「相互作用」、「その他の副作用」、「高齢者への投与」の項参照]
3.
ケトアシドーシス(頻度不明注1)
ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
[「重要な基本的注意9.」の項参照]
4.
腎盂腎炎(頻度不明注2))、敗血症(頻度不明注2)
腎盂腎炎があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
[「重要な基本的注意7.」の項参照]

その他の副作用

感染症
0.1〜5%
膀胱炎、尿路感染、無症候性細菌尿、外陰部腟カンジダ症
感染症
0.1%未満
トリコモナス症、細菌性腟炎、外陰部腟炎
感染症
頻度不明注1)
腟モニリア症
生殖系障害
0.1〜5%
亀頭炎、陰部そう痒症
生殖系障害
0.1%未満
亀頭包皮炎、外陰腟不快感、外陰腟そう痒症
代謝及び栄養障害
0.1〜5%
高脂血症
代謝及び栄養障害
頻度不明注1)
体液量減少
血液及びリンパ系障害
0.1〜5%
血液濃縮
神経障害
0.1〜5%
めまい、味覚異常
胃腸障害
0.1〜5%
便秘、腹部膨満
皮膚及び皮下組織障害
0.1〜5%
発疹
**,*皮膚及び皮下組織障害
頻度不明注1)
そう痒症、蕁麻疹
腎及び尿路障害
0.1〜5%
頻尿、多尿、尿量増加
*腎及び尿路障害
頻度不明注1)
排尿困難
一般・全身障害
0.1〜5%
口渇、空腹感
臨床検査
0.1〜5%
体重減少、尿中ケトン体陽性
臨床検査
0.1%未満
血中ケトン体陽性
*注1)海外において認められている副作用あるいは国内自発報告であるため、頻度不明
*注2)海外でのみ認められている副作用のため、頻度不明

高齢者への投与

1.
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。なお、国内外の臨床試験の併合解析において、75歳以上の患者では75歳未満の患者と比較し、本剤25mg群で体液量減少の有害事象の発現割合が高かった。
[「重要な基本的注意8.」の項参照]
2.
高齢者では脱水症状(口渇等)の認知が遅れるおそれがあるので、注意すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
*妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、本剤を投与せず、インスリン製剤等を使用すること。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。本剤の動物実験(ラット)で、ヒトの妊娠中期及び後期にあたる幼若動物への曝露により、腎盂及び尿細管の拡張が報告されている。また、動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。]
2.
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。
[動物実験(ラット)で、乳汁中への移行が報告されている4)。]

小児等への投与

小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

臨床検査結果に及ぼす影響

本剤の作用機序により、本剤服用中は尿糖陽性、血清1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)低値を示す。尿糖及び血清1,5-AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とはならないので注意すること。

適用上の注意

薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]

その他の注意

雌雄マウスを用いた2年間反復投与がん原性試験(100、300及び1000mg/kg/日)において、1000mg/kg/日の雄で腎腫瘍の発生頻度の増加が認められた。雌雄ラットを用いた2年間反復投与がん原性試験(100、300及び700mg/kg/日)において、300mg/kg/日以上の雄で精巣に間細胞腫、700mg/kg/日の雄で腸間膜リンパ節の血管腫の発生頻度の増加が認められた。マウスに本剤1000mg/kg/日(雄)及びラットに本剤300mg/kg/日(雄)を反復経口投与したときの曝露量(AUC0-24h)は、最大臨床推奨用量(1日1回25mg)のそれぞれ約33倍及び約19倍であった。

薬物動態

1.
血漿中濃度
(1)
単回投与5)
日本人健康成人男性に、エンパグリフロジン1、5、10、25、100mgを空腹時単回経口投与したときの血漿中未変化体の血漿中濃度推移を図1に、薬物動態パラメータを下記に示す。
(本剤の承認用量は10mg及び25mgである。)
raster
図1 健康成人男性に空腹時単回経口投与後の平均血漿中濃度推移
(算術平均値+標準偏差)
健康成人男性に空腹時単回経口投与後の血漿中薬物動態パラメータ
パラメータ名[単位]:AUC0-∞[nM・h]
1mg n=6:266(23.1)
5mg n=6:1140(10.2)
10mg n=6:2670(10.6)
25mg n=6:6180(13.4)
100mg n=6:22800(25.5)
パラメータ名[単位]:Cmax[nM]
1mg n=6:36.6(23.9)
5mg n=6:166(26.6)
10mg n=6:379(19.4)
25mg n=6:661(10.4)
100mg n=6:2980(31.2)
パラメータ名[単位]:tmax[h]
1mg n=6:1.25(1.00-2.00)
5mg n=6:2.00(0.750-2.00)
10mg n=6:1.50(1.00-3.00)
25mg n=6:2.00(1.00-4.00)
100mg n=6:2.50(0.750-4.00)
パラメータ名[単位]:t1/2[h]
1mg n=6:7.76(13.9)
5mg n=6:9.60(19.9)
10mg n=6:9.88(29.7)
25mg n=6:11.7(30.1)
100mg n=6:11.6(31.9)
算術平均値(変動係数%)、tmaxは中央値(最小値−最大値)
(2)
反復投与
日本人2型糖尿病患者に、エンパグリフロジン10mg及び25mgを空腹時1日1回28日間反復経口投与したときの血漿中濃度推移を図2、薬物動態パラメータを下記に示す。Cmax及びAUCτから算出した累積係数は1.33以下であった。6)外国人健康成人男性(16例)にエンパグリフロジン50mgを1日1回経口投与した場合、エンパグリフロジンの血漿中濃度は5回目の投与までに定常状態に達した7)
(本剤の承認用量は10mg及び25mgである。)
raster
図2 2型糖尿病患者に10mg及び25mgを空腹時反復経口投与後の平均血漿中濃度推移(算術平均値+標準偏差、投与1日目n=20及び19、投与28日目n=18及び17)
2型糖尿病患者に空腹時反復経口投与後の血漿中薬物動態パラメータ
10mg(n=18)
AUCτ,ss[nM・h]:2610(16.2)
Cmax,ss[nM]:407(25.8)
tmax,ss[h]:1.50(0.967-4.00)
t1/2,ss[h]:14.3(38.3)
25mg(n=17)
AUCτ,ss[nM・h]:6460(21.1)
Cmax,ss[nM]:869(30.2)
tmax,ss[h]:1.50(0.967-6.00)
t1/2,ss[h]:18.0(40.7)
算術平均値(変動係数%)、tmaxは中央値(最小値−最大値)
(3)
食事の影響8)
(外国人データ)健康成人に、エンパグリフロジン25mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に対する食後投与のCmax及びAUC0-∞の幾何平均値の比(食後投与/空腹時投与)とその90%信頼区間は、63.2[56.7,70.4]%及び84.0[80.9,87.3]%であった。空腹時投与に比べてtmaxの中央値は1.5時間延長した。
健康成人に25mgを空腹時及び食後に単回経口投与後の薬物動態パラメータ
パラメータ名[単位]:AUC0-∞[nM・h]
空腹時 n=18:5550(26.0)
食後 n=17:4650(24.8)
パラメータ名[単位]:Cmax[nM]
空腹時 n=18:867(26.8)
食後 n=17:542(27.7)
パラメータ名[単位]:tmax[h]
空腹時 n=18:1.00(0.667-4.00)
食後 n=17:2.50(0.667-4.00)
算術平均値(変動係数%)、tmaxは中央値(最小値−最大値)
2.
吸収
エンパグリフロジンの絶対バイオアベイラビリティの検討は行っていない。
3.
分布
日本人2型糖尿病患者(腎機能正常、8例)にエンパグリフロジン25mgを単回経口投与したときのエンパグリフロジンの血漿蛋白結合率は84.7%であった9)。外国人健康成人男性(8例)に14C-エンパグリフロジン50mg溶液を経口投与したときの血球/血漿の放射能濃度の分布比は28.6〜36.8%であった10)
(本剤の承認用量は10mg及び25mgである。)
4.
代謝
(1)
in vitroデータ)ヒトの肝ミクロソーム及び単離肝細胞を用いてエンパグリフロジンの代謝を評価した結果、エンパグリフロジンはほとんど代謝を受けなかった11)。主たる代謝物の生成にはUGT2B7、UGT1A3、UGT1A8及びUGT1A9が関与しており、CYP酵素の関与はほとんどなかった2,11)
エンパグリフロジンはヒト肝ミクロソームのCYP1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、3A4を阻害しなかった12,13)。酵素誘導試験においてCYP1A2、2B6、3A4の誘導はみられなかった14)
(2)
(外国人データ)健康成人男性に14C-エンパグリフロジン50mg溶液を経口投与したとき(8例)、血漿中には主に未変化体が認められ(血漿中放射能に対する割合は75%超)、主な代謝物はグルクロン酸抱合体であった(血漿中放射能に対する割合は約3.3〜7.4%)1)
(本剤の承認用量は10mg及び25mgである。)
5.
排泄
(1)
日本人健康成人男性(各6例)にエンパグリフロジン10mg及び25mgを単回経口投与したときの投与後72時間までの尿中未変化体排泄率はそれぞれ投与量の21.3%及び22.9%、腎クリアランスはそれぞれ29.9mL/min及び34.8mL/minであった5)
(2)
(外国人データ)健康成人男性(8例)に14C-エンパグリフロジン50mg溶液を単回経口投与したとき、投与放射能の約54.4%が尿中に、約41.2%が糞中に排泄された。尿及び糞中に排泄された放射能に対する未変化体の割合はそれぞれ43.5%及び82.9%であった1)
(本剤の承認用量は10mg及び25mgである。)
(3)
in vitroデータ)エンパグリフロジンはP-gp、BCRP、OAT3、OATP1B1及びOATP1B3の基質であった。また、エンパグリフロジンはBCRP、OAT3、OATP1B1及びOATP1B3に対して弱い阻害作用(IC50値:各114、295、71.8、58.6μM)を示したが、P-gpに対して阻害作用を示さなかった。3,15,16)
6.
腎機能障害患者
日本人腎機能正常及び軽度、中等度、高度腎機能障害の2型糖尿病患者にエンパグリフロジン25mg単回経口投与を行った。単回投与後の薬物動態パラメータの正常腎機能患者に対する幾何平均値の比とその90%信頼区間は、軽度、中等度、高度腎機能障害患者でそれぞれCmaxについて、93.5[72.2,121]%、92.2[71.2,119]%、94.0[72.6,122]%であり、AUC0-∞について129[106,157]%、144[118,175]%、152[125,185]%であった。投与後24時間までの尿中グルコース排泄量(UGE0-24h)のベースラインからの変化量は腎機能の低下とともに減少した9)
外国人末期腎不全患者(8例)にエンパグリフロジン50mg単回経口投与を行った場合、Cmax及びAUC0-∞の正常腎機能患者に対する幾何平均値の比とその90%信頼区間は、104[81.2,133]%及び148[120,183]%であった。UGE0-24hのベースラインからの変化量の平均値(標準誤差)は0.78(0.90)gであった17)
(本剤の承認用量は10mg及び25mgである。)
正常腎機能患者及び腎機能障害患者に25mg単回経口投与後の薬物動態/薬力学パラメータ
パラメータ名[単位]:AUC0-∞[nM・h]
正常腎機能注1)n=8:7560(14.9)
軽度腎機能障害注1)n=8:9730(14.7)
中等度腎機能障害注1)n=8:10800(9.18)
高度腎機能障害注1)n=8:12200(40.1)
パラメータ名[単位]:Cmax[nM]
正常腎機能注1)n=8:1070(18.1)
軽度腎機能障害注1)n=8:1030(34.4)
中等度腎機能障害注1)n=8:1000(26.4)
高度腎機能障害注1)n=8:1070(42.3)
パラメータ名[単位]:tmax注2)[h]
正常腎機能注1)n=8:2.50(1.00-2.50)
軽度腎機能障害注1)n=8:2.50(1.00-4.00)
中等度腎機能障害注1)n=8:2.50(0.667-6.00)
高度腎機能障害注1)n=8:3.25(1.00-6.00)
パラメータ名[単位]:fe0-24h[%]
正常腎機能注1)n=8:16.5(18.5)
軽度腎機能障害注1)n=8:14.3注3)(20.9)
中等度腎機能障害注1)n=8:11.4(28.7)
高度腎機能障害注1)n=8:4.24(41.3)
パラメータ名[単位]:CLR,0-24h[mL/min]
正常腎機能注1)n=8:23.8(24.3)
軽度腎機能障害注1)n=8:16.8注3)(23.8)
中等度腎機能障害注1)n=8:13.5(33.3)
高度腎機能障害注1)n=8:4.67(42.3)
パラメータ名[単位]:UGE0-24h注5)[g]
正常腎機能注1)n=8:75.0(4.84)
軽度腎機能障害注1)n=8:62.6注4)(5.75)
中等度腎機能障害注1)n=8:57.9(4.86)
高度腎機能障害注1)n=8:23.7注3)(5.24)
平均値(変動係数%)
注1)正常腎機能:推定糸球体濾過量(eGFR)≧90mL/min/1.73m2
軽度腎機能障害:eGFR 60〜<90mL/min/1.73m2
中等度腎機能障害:eGFR 30〜<60mL/min/1.73m2
高度腎機能障害:eGFR 15〜<30mL/min/1.73m2
注2)中央値(最小値−最大値)
注3)n=7
注4)n=6
注5)投与後24時間までの尿中グルコース排泄量のベースラインからの変化量の調整平均値(標準誤差)
7.
肝機能障害者18)
(外国人データ)肝機能正常被験者(n=12)及び軽度(Child-Pughスコア5又は6、n=8)、中等度(Child-Pughスコア7〜9、n=8)、高度(Child-Pughスコア10〜15、n=8)肝機能障害者にエンパグリフロジン50mg単回経口投与を行った。単回投与後の薬物動態パラメータの肝機能正常被験者に対する幾何平均値の比とその90%信頼区間は、軽度、中等度及び高度肝機能障害者でそれぞれCmaxについて104[82.3,131]%、123[97.7,156]%、148[118,187]%であり、AUC0-∞について123[98.9,153]%、147[118,183]%、175[140,218]%であった。
(本剤の承認用量は10mg及び25mgである。)
8.
高齢者19)
2型糖尿病患者3208例(日本人患者628例を含む)を用いた母集団薬物動態解析の結果、年齢が50歳の場合に比べてAUCτ,ssは65歳では8.00%、75歳では12.5%高くなると予測された。
9.
薬物相互作用
薬物相互作用のin vitroにおける評価については4.代謝の項を参照。
(1)
ゲムフィブロジルとの併用(外国人データ)20)
健康成人(18例)にゲムフィブロジル(OATP1B1、OAT3及びCYP2C8の阻害剤)600mg1日2回(1200mg/日)5日間反復経口投与し、ゲムフィブロジル投与開始後3日目にエンパグリフロジン25mgを単回経口併用投与した場合、エンパグリフロジンの単独投与時に対する併用投与時の幾何平均値の比とその90%信頼区間はAUC0-∞で159[152,166]%、Cmaxで115[106,125]%であった。
(2)
リファンピシンとの併用(外国人データ)21)
健康成人(18例)にエンパグリフロジン10mgと、リファンピシン(OATP1B1及びOATP1B3の阻害剤)600mgを単回経口併用投与した場合、エンパグリフロジンの単独投与時に対する併用投与時の幾何平均値の比とその90%信頼区間はAUC0-∞で135[130,141]%、Cmaxで175[160,192]%であった。
(3)
プロベネシドとの併用(外国人データ)21)
健康成人(16例)にプロベネシド(OAT3及びUGTの阻害剤)500mgを1日2回4日間反復経口投与し、プロベネシド投与開始後2日目にエンパグリフロジン10mgを単回経口併用投与した場合、エンパグリフロジンの単独投与時に対する併用投与時の幾何平均値の比とその90%信頼区間はAUC0-∞で153[146,161]%、Cmaxで126[114,139]%であった。
(4)
その他の薬剤との併用(外国人データ)
エンパグリフロジンの薬物動態はメトホルミン22)、グリメピリド(CYP2C9で代謝される)7)、ピオグリタゾン(CYP2C8及び3A4で代謝される)23,24)、シタグリプチン25)、リナグリプチン26)、ワルファリン(CYP2C9の基質)27)、ベラパミル(P-糖蛋白阻害剤)28)、ラミプリル28)、シンバスタチン(CYP3A4の基質)29)、利尿薬(ヒドロクロロチアジド及びトラセミド)30)との併用による影響はみられなかった。
エンパグリフロジンの薬物動態に及ぼす併用薬の影響
併用薬:メトホルミン
併用薬用量:1000mg 1日2回
本剤用量:50mg注1)1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:96.9(92.3,102)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:100(88.8,114)
併用薬:グリメピリド
併用薬用量:1mg 単回
本剤用量:50mg注1)1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:95.2(92.0,98.5)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:95.6(88.2,103)
併用薬:ピオグリタゾン
併用薬用量:45mg 1日1回
本剤用量:50mg注1)1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:100(96.1,105)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:93.4(85.1,103)
併用薬:シタグリプチン
併用薬用量:100mg 1日1回
本剤用量:50mg注1)1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:110(104,117)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:108(97.0,119)
併用薬:リナグリプチン
併用薬用量:5mg 1日1回
本剤用量:50mg注1)1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:102(96.5,107)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:88.3(78.8,98.9)
併用薬:ワルファリン
併用薬用量:25mg 単回
本剤用量:25mg 1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:101(96.9,105)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:101(89.8,113)
併用薬:ベラパミル
併用薬用量:120mg 単回
本剤用量:25mg 単回注2)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:103(98.9,107)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:92.4(85.4,100)
併用薬:ラミプリル
併用薬用量:5mg 1日1回
本剤用量:25mg 1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:96.6(93.1,100)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:105(97.7,112)
併用薬:シンバスタチン
併用薬用量:40mg 単回
本剤用量:25mg 単回注2)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:102(98.9,105)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:109(96.9,124)
併用薬:ヒドロクロロチアジド
併用薬用量:25mg 1日1回
本剤用量:25mg 1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:107(97.1,118)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:103(88.6,119)
併用薬:トラセミド
併用薬用量:5mg 1日1回
本剤用量:25mg 1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:108(100,116)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:108(97.9,118)
注1)本剤の承認用量は10mg及び25mg
注2)単回投与での評価のためAUC0-∞,Cmaxから計算
また、エンパグリフロジンの併用によるメトホルミン22)、グリメピリド7)、ピオグリタゾン23,24)、シタグリプチン25)、リナグリプチン26)、ワルファリン27)、ジゴキシン28)、ラミプリル28)、シンバスタチン29)、利尿薬(ヒドロクロロチアジド及びトラセミド)30)、経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレル)31)の薬物動態への臨床的に問題となる影響はみられなかった。
併用薬の薬物動態に及ぼすエンパグリフロジンの影響
併用薬:メトホルミン
併用薬用量:1000mg 1日2回
本剤用量:50mg注1)1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:101(95.9,106)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:104(96.5,111)
併用薬:グリメピリド
併用薬用量:1mg 単回注2)
本剤用量:50mg注1)1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:93.3(86.1,101)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:104(89.5,121)
併用薬:ピオグリタゾン
併用薬用量:45mg 1日1回
本剤用量:10mg 1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:ピオグリタゾン 90.0(77.9,104)、ピオグリタゾン M-III99.4(87.4,113)、ピオグリタゾン M-IV95.0(85.3,106)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:ピオグリタゾン 87.7(73.9,104)、ピオグリタゾン M-III95.7(77.3,119)、ピオグリタゾン M-IV92.6(77.3,111)
併用薬:ピオグリタゾン
併用薬用量:45mg 1日1回
本剤用量:25mg 1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:ピオグリタゾン 89.0(72.7,109)、ピオグリタゾン M-III99.5(89.1,111)、ピオグリタゾン M-IV101(91.6,111)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:ピオグリタゾン 90.2(66.8,122)、ピオグリタゾン M-III104(80.8,133)、ピオグリタゾン M-IV113(90.8,139)
併用薬:ピオグリタゾン
併用薬用量:45mg 1日1回
本剤用量:50mg注1)1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:ピオグリタゾン 91.1(77.4,107)、ピオグリタゾン M-III98.9(90.7,108)、ピオグリタゾン M-IV96.1(91.9,101)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:ピオグリタゾン 89.9(71.0,114)、ピオグリタゾン M-III91.9(77.1,110)、ピオグリタゾン M-IV89.0(76.5,103)
併用薬:シタグリプチン
併用薬用量:100mg 1日1回
本剤用量:50mg注1)1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:103(99.0,107)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:109(101,117)
併用薬:リナグリプチン
併用薬用量:5mg 1日1回
本剤用量:50mg注1)1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:103(96.1,111)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:102(86.9,119)
併用薬:ワルファリン
併用薬用量:25mg 単回注2)
本剤用量:25mg 1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:R-ワルファリン 98.5(95.3,102)、S-ワルファリン 95.9(93.4,98.4)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:R-ワルファリン 97.9(91.1,105)、98.9(91.8,106)
併用薬:ジゴキシン
併用薬用量:0.5mg 単回注2)
本剤用量:25mg 1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:106(96.7,116)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:114(99.3,131)
併用薬:ラミプリル
併用薬用量:5mg 1日1回
本剤用量:25mg 1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:ラミプリル 108(101,116)、ラミプリラート 98.7(96.0,101)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:ラミプリル 104(89.7,120)、ラミプリラート 98.3(92.7,104)
併用薬:シンバスタチン
併用薬用量:40mg 単回注2)
本剤用量:25mg 単回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:シンバスタチン 101(80.1,128)、シンバスタチン酸 105(90.1,122)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:シンバスタチン 97.2(76.3,124)、シンバスタチン酸 97.3(84.9,111)
併用薬:ヒドロクロロチアジド
併用薬用量:25mg 1日1回
本剤用量:25mg 1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:96.3(89.1,104)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:102(88.6,117)
併用薬:トラセミド
併用薬用量:5mg 1日1回
本剤用量:25mg 1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:トラセミド 101(99.1,104)、トラセミド-M1 104(100,109)、トラセミド-M3 103(95.9,111)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:トラセミド 104(93.8,116)、トラセミド-M1 103(94.1,112)、トラセミド-M3 102(97.7,107)
併用薬:エチニルエストラジオール
併用薬用量:30μg 1日1回
本剤用量:25mg 1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:103(97.6,108)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:99.2(93.4,105)
併用薬:レボノルゲストレル
併用薬用量:150μg 1日1回
本剤用量:25mg 1日1回
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 AUCτ,ss:102(98.5,105)
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独 Cmax,ss:106(99.5,113)
注1)本剤の承認用量は10mg及び25mg
注2)単回投与での評価のためAUC0-∞,Cmaxから計算

臨床成績

1.
単独療法試験
(1)
用量反応試験32)
食事、運動療法を実施したにもかかわらず血糖コントロールが不十分な日本人の2型糖尿病患者を対象に、本剤及びプラセボを1日1回12週間経口投与した。HbA1c(主要評価項目:NGSP値)及び空腹時血糖の投与前値からの調整平均変化量は下記のとおりであり、本剤10mg及び25mgはいずれの項目においてもプラセボ投与群と比べ有意な差が認められた。体重の投与前値からの調整平均変化量のプラセボとの差は、本剤10mg及び25mgでそれぞれ−1.70kg及び−1.97kgであった。低血糖の副作用発現割合は、プラセボで0.9%(1/109例)、本剤10mgで1.8%(2/109例)、本剤25mgで1.8%(2/109例)であった。
プラセボ群(n=109)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:7.94
投与前値からの変化量:0.30(0.09)
プラセボとの差:−
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:4.06(2.88)
プラセボとの差:−
10mg群(n=109)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:7.93
投与前値からの変化量:−0.40(0.09)
プラセボとの差:−0.70(0.08)[−0.85,−0.55]
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:−25.28(2.77)
プラセボとの差:−29.34(2.50)[−34.25,−24.42]
25mg群(n=109)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:7.93
投与前値からの変化量:−0.65(0.09)
プラセボとの差:−0.95(0.08)[−1.10,−0.80]
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:−33.70(2.92)
プラセボとの差:−37.75(2.50)[−42.66,−32.84]
n:ランダム化された症例数
投与前値からの変化量及びプラセボとの差:調整平均変化量(SE)
(ANCOVA:LOCF)
(2)
プラセボ対照二重盲検試験(国際共同治験)33)
食事、運動療法を実施したにもかかわらず血糖コントロールが不十分な外国人及び日本人の2型糖尿病患者を対象に、本剤及びプラセボを1日1回24週間経口投与した。HbA1c(主要評価項目:NGSP値)及び空腹時血糖の投与前値からの調整平均変化量は下記のとおりであり、本剤10mg及び25mgはいずれの項目においてもプラセボ投与群と比べ有意な差が認められた。体重の投与前値からの調整平均変化量のプラセボとの差は、本剤10mg及び25mgでそれぞれ−1.93kg及び−2.15kgであった。低血糖の副作用発現割合は、プラセボで0.5%(1/221例)、本剤10mgで0.5%(1/217例)、本剤25mgで0.5%(1/216例)であった。
プラセボ群(n=219)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:7.92
投与前値からの変化量:0.08(0.05)
プラセボとの差:−
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:11.7(2.0)
プラセボとの差:−
10mg群(n=216)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:7.89
投与前値からの変化量:−0.65(0.05)
プラセボとの差:−0.74(0.07)[−0.88,−0.59]
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:−19.4(2.0)
プラセボとの差:−31.1(2.9)[−36.7,−25.5]
25mg群(n=216)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:7.86
投与前値からの変化量:−0.76(0.05)
プラセボとの差:−0.85(0.07)[−0.99,−0.70]
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:−24.3(2.0)
プラセボとの差:−36.0(2.9)[−41.6,−30.4]
n:ランダム化された症例数
投与前値からの変化量及びプラセボとの差:調整平均変化量(SE)
(ANCOVA:LOCF)
(3)
単剤での長期投与試験
上記(1)の試験で、本剤10mg又は25mgを服用して12週間投与した患者は、同一用量及び用法で合計52週間の投与を行った。その結果、HbA1c及び空腹時血糖の投与前値からの調整平均変化量は下記のとおりであり、いずれにおいてもその効果は持続していた。体重の投与前値からの調整平均変化量は、本剤10mg及び25mgでそれぞれ−3.07kg及び−3.12kgであり、その体重減少作用は52週間にわたって持続していた。低血糖の副作用発現割合は、本剤10mgで1.8%(2/109例)、本剤25mgで2.8%(3/109例)であった。32)
10mg群(n=109)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:7.92
投与前値からの変化量:−0.67(0.09)
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:−24.71(3.15)
25mg群(n=109)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:7.92
投与前値からの変化量:−0.86(0.09)
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:−31.25(3.35)
n:ランダム化された症例数
投与前値からの変化量:調整平均変化量(SE)
(ANCOVA:OC)
上記(2)の試験で、本剤10mg又は25mgを服用して24週間投与した患者は、同一用量及び用法で延長試験に移行した。先行試験と合わせて合計52週間(中間解析)の投与を行った。その結果、HbA1c及び空腹時血糖の投与前値からの調整平均変化量は下記のとおりであり、いずれにおいてもその効果は持続しており、投与52週時ではいずれの項目においてもプラセボ投与群と比べ有意な差が認められた。体重の投与前値からの調整平均変化量のプラセボとの差は、本剤10mg及び25mgでそれぞれ−1.42kg及び−2.53kgであり、その体重減少作用は52週間にわたって持続していた。低血糖の副作用発現割合は、プラセボで0.5%(1/221例)、本剤10mgで0.5%(1/217例)、本剤25mgで0.5%(1/216例)であった。34)
プラセボ群(n=219)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:7.92
投与前値からの変化量:0.10(0.05)
プラセボとの差:−
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:11.8(2.0)
プラセボとの差:−
10mg群(n=216)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:7.89
投与前値からの変化量:−0.66(0.05)
プラセボとの差:−0.76(0.08)[−0.91,−0.61]
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:−18.2(2.0)
プラセボとの差:−30.1(2.9)[−35.7,−24.5]
25mg群(n=216)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:7.86
投与前値からの変化量:−0.81(0.05)
プラセボとの差:−0.91(0.08)[−1.06,−0.76]
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:−23.9(2.0)
プラセボとの差:−35.7(2.9)[−41.3,−30.1]
n:ランダム化された症例数
投与前値からの変化量及びプラセボとの差:調整平均変化量(SE)
(ANCOVA:LOCF)
2.
併用療法長期投与試験35)
既存の経口血糖降下薬であるスルホニルウレア剤、ビグアナイド系薬剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害剤、α-グルコシダーゼ阻害剤又は速効型インスリン分泌促進剤による治療にもかかわらず血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者に本剤10mg又は25mgを1日1回52週間併用経口投与した時の安全性及び有効性を評価した。その結果、HbA1c及び空腹時血糖の投与前値からの調整平均変化量は下記のとおりであり、いずれにおいてもその効果は持続していた。体重の投与前値からの調整平均変化量は、本剤10mg及び25mgでそれぞれ−3.09〜−2.29kg及び−3.41〜−2.77kgであり、その体重減少作用は52週間にわたって持続していた。本剤10mg及び25mgにおける低血糖の副作用発現割合は、スルホニルウレア剤併用時でそれぞれ6.6%(9/136例)及び7.3%(10/137例)、ビグアナイド系薬剤併用時でそれぞれ1.5%(1/68例)及び4.6%(3/65例)、チアゾリジン系薬剤併用時でそれぞれ0.7%(1/137例)及び0.7%(1/136例)、DPP-4阻害剤併用時でそれぞれ0.0%(0/68例)及び4.2%(3/71例)、α-グルコシダーゼ阻害剤併用時でそれぞれ0.0%(0/69例)及び0.0%(0/70例)、速効型インスリン分泌促進剤併用時でそれぞれ0.0%(0/70例)及び4.3%(3/70例)であった。
併用薬剤:スルホニルウレア剤
本剤の投与量(n):10mg(n=136)
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値:7.99
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値からの変化量:−0.93(0.05)
空腹時血糖(mg/dL):−26.35(1.66)
本剤の投与量(n):25mg(n=137)
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値:8.06
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値からの変化量:−0.96(0.05)
空腹時血糖(mg/dL):−30.50(1.66)
併用薬剤:ビグアナイド系薬剤
本剤の投与量(n):10mg(n=68)
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値:7.68
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値からの変化量:−0.81(0.06)
空腹時血糖(mg/dL):−16.43(1.78)
本剤の投与量(n):25mg(n=65)
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値:7.51
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値からの変化量:−0.98(0.06)
空腹時血糖(mg/dL):−23.61(1.82)
併用薬剤:チアゾリジン系薬剤
本剤の投与量(n):10mg(n=137)
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値:7.85
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値からの変化量:−0.90(0.05)
空腹時血糖(mg/dL):−23.82(1.41)
本剤の投与量(n):25mg(n=136)
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値:7.95
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値からの変化量:−0.96(0.05)
空腹時血糖(mg/dL):−26.76(1.41)
併用薬剤:DPP-4阻害剤
本剤の投与量(n):10mg(n=68)
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値:7.78
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値からの変化量:−1.00(0.06)
空腹時血糖(mg/dL):−25.21(1.86)
本剤の投与量(n):25mg(n=71)
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値:7.82
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値からの変化量:−0.83(0.06)
空腹時血糖(mg/dL):−20.32(1.82)
併用薬剤:α-グルコシダーゼ阻害剤
本剤の投与量(n):10mg(n=69)
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値:7.78
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値からの変化量:−0.87(0.06)
空腹時血糖(mg/dL):−24.03(1.84)
本剤の投与量(n):25mg(n=70)
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値:7.56
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値からの変化量:−0.77(0.06)
空腹時血糖(mg/dL):−23.70(1.83)
併用薬剤:速効型インスリン分泌促進剤
本剤の投与量(n):10mg(n=70)
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値:8.01
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値からの変化量:−0.98(0.08)
空腹時血糖(mg/dL):−31.00(2.21)
本剤の投与量(n):25mg(n=70)
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値:7.98
HbA1c(NGSP値)(%) 投与前値からの変化量:−0.98(0.08)
空腹時血糖(mg/dL):−33.05(2.21)
n:ランダム化された症例数
投与前値からの変化量:調整平均変化量(SE)
(ANCOVA:LOCF)
3.
腎機能低下2型糖尿病患者を対象としたプラセボ対照二重盲検試験(外国人データ)36)
腎機能障害を有する2型糖尿病患者に、本剤及びプラセボを1日1回24週間経口投与した。HbA1c(主要評価項目:NGSP値)及び空腹時血糖の投与前値からの調整平均変化量は下記のとおりであり、本剤10mgは軽度腎機能障害患者(eGFR 60mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満)で、本剤25mgは軽度腎機能障害患者及び中等度腎機能障害患者(eGFR 45mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)において、いずれもプラセボ投与群と比べ有意な差が認められた。体重の投与前値からの調整平均変化量のプラセボとの差は、軽度腎機能障害患者では本剤10mg及び25mgでそれぞれ−1.43kg及び−2.00kgであり、中等度腎機能障害患者では本剤25mgで−0.74kgであった。
軽度腎機能障害患者(eGFR 60mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満)
プラセボ群(n=95)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:8.09
投与前値からの変化量:0.06(0.07)
プラセボとの差:−
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:5.67(3.50)
プラセボとの差:−
10mg群(n=98)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:8.02
投与前値からの変化量:−0.46(0.07)
プラセボとの差:−0.52(0.10)[−0.72,−0.32]
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:−13.88(3.44)
プラセボとの差:−19.56(4.91)[−29.23,−9.88]
25mg群(n=97)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:7.96
投与前値からの変化量:−0.63(0.07)
プラセボとの差:−0.68(0.10)[−0.88,−0.49]
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:−18.08(3.47)
プラセボとの差:−23.75(4.94)[−33.48,−14.03]
n:ランダム化された症例数
投与前値からの変化量及びプラセボとの差:調整平均変化量(SE)
(ANCOVA:LOCF)
中等度腎機能障害患者(eGFR 45mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)
プラセボ群(n=89)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:8.08
投与前値からの変化量:−0.08(0.07)
プラセボとの差:−
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:6.68(3.76)
プラセボとの差:−
25mg群(n=91)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値:8.12
投与前値からの変化量:−0.54(0.07)
プラセボとの差:−0.46(0.10)[−0.66,−0.27]
空腹時血糖(mg/dL)
投与前値からの変化量:−14.71(3.74)
プラセボとの差:−21.39(5.34)[−31.94,−10.84]
n:ランダム化された症例数
投与前値からの変化量及びプラセボとの差:調整平均変化量(SE)
(ANCOVA:LOCF)

薬効薬理

1.
作用機序
腎臓で濾過されたグルコースは近位尿細管に存在するヒトナトリウム-グルコース共役輸送担体2(SGLT2)によってほぼ完全に再吸収され、わずかではあるがSGLT1によっても再吸収される37)。エンパグリフロジンはSGLT2選択的な競合阻害剤で、腎臓によるグルコースの再吸収を阻害することにより尿中グルコース排泄量を増加させ、血糖を低下させる38)
2.
薬理作用
(1)
SGLT2阻害作用
In vitro試験で、エンパグリフロジンはSGLT2を選択的に阻害し(IC50:1.3nM)、ヒトSGLT1(IC50:6278nM)と比較して約5000倍の選択性を示した39)
(2)
尿中グルコース排泄促進作用
糖尿病モデル動物(db/dbマウス及びZucker糖尿病肥満[ZDF]ラット)において、エンパグリフロジンは単回経口投与により尿中グルコース排泄量(投与後7時間)を増加させた38)
日本人2型糖尿病患者にエンパグリフロジン1mg、5mg、10mg、25mg又はプラセボを1日1回4週間反復経口投与した。エンパグリフロジンはプラセボに比べ投与28日目の投与24時間後までの累積尿中グルコース排泄量を増加させた6)
(3)
血糖低下作用
糖尿病モデル動物(db/dbマウス及びZDFラット)において、エンパグリフロジンは単回経口投与により血糖低下作用を示した38)。さらに、ZDFラットにおいて、エンパグリフロジンは1日1回5週間反復経口投与により、投与22日目(摂食下)及び投与37日目(絶食下)の血中グルコース濃度並びにHbA1cを低下させた40)
日本人2型糖尿病患者にプラセボ、エンパグリフロジン10mg又は25mgを1日1回24週間反復経口投与した。エンパグリフロジンはプラセボに比べHbA1cを低下させた33)

有効成分に関する理化学的知見

一般名
エンパグリフロジン(JAN)
Empagliflozin(JAN,INN)
化学名
(1S)-1,5-Anhydro-1-C-{4-chloro-3-[(4-{[(3S)-oxolan-3-yl]oxy}phenyl)methyl]phenyl}-D-glucitol
化学構造式
raster
分子式
C23H27ClO7
分子量
450.91
性状
白色から黄白色の粉末である。メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水に極めて溶けにくい。
融点
150℃±2℃
分配係数
logD(pH7.4)=logP=1.7

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

ジャディアンス錠10mg:100錠(10錠×10)PTP
700錠(14錠×50)PTP
500錠 瓶
ジャディアンス錠25mg:100錠(10錠×10)PTP

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
Mao Y. et al.:社内資料 非臨床薬物動態試験(代謝)
2)
Mathur A. et al.:社内資料 非臨床薬物動態試験(代謝)
3)
Podila L. et al.:社内資料 非臨床薬物動態試験(代謝)
4)
Berge MA. et al.:社内資料 非臨床薬物動態試験(代謝)
5)
Sarashina A. et al.:Drug Metab. Pharmacokinet. 2013;28(3):213-219
6)
小岩井和樹ほか:社内資料 日本人2型糖尿病患者を対象とした4週間反復投与試験
7)
Macha S. et al.:J Diabetes Res. Clin. Metab. 2012;1:14
8)
Jungnik A. et al.:社内資料 食事の影響及び用量比例性試験
9)
田中優子ほか:社内資料 日本人2型糖尿病患者を対象とした腎機能障害試験
10)
Jungnik A. et al.:社内資料 ヒトADME試験
11)
Ely D. et al.:社内資料 非臨床薬物動態試験(代謝)
12)
Sane RS. et al.:社内資料 非臨床薬物動態試験(代謝)
13)
McCabe M. et al.:社内資料 非臨床薬物動態試験(代謝)
14)
Jackson J. et al.:社内資料 非臨床薬物動態試験(代謝)
15)
石黒直樹:社内資料 非臨床薬物動態試験(トランスポーター)
16)
Podila L. et al.:社内資料 非臨床薬物動態試験(トランスポーター)
17)
Macha S. et al.:Diabetes Obes. Metab. 2014;16(3):215-222
18)
Macha S. et al.:Diabetes Obes. Metab. 2014;16(2):118-123
19)
Riggs M. et al.:社内資料 2型糖尿病患者母集団薬物動態解析
20)
Koenen R. et al.:社内資料 ゲムフィブロジルとの薬物相互作用試験
21)
Sennewald R. et al.:社内資料 リファンピシン及びプロベネシドとの薬物相互作用試験
22)
Macha S. et al.:Int. J. Clin. Pharmacol. Ther. 2013;51(2):132-140
23)
Hanrieder K. et al.:社内資料 ピオグリタゾンとの薬物相互作用試験
24)
Port A. et al.:社内資料 ピオグリタゾンとの薬物相互作用試験
25)
Brand T. et al.:Adv. Ther. 2012;29(10):889-899
26)
Friedrich C. et al.:Clin. Ther. 2013;35(1):A33-A42
27)
Macha S. et al.:Diabetes Obes. Metab. 2013;15(4):316-323
28)
Macha S. et al.:Clin. Ther. 2013;35(3):226-235
29)
Giessmann T. et al.:社内資料 シンバスタチンとの薬物相互作用試験
30)
Giessmann T. et al.:社内資料 利尿薬(ヒドロクロロチアジド及びトラセミド)との薬物相互作用試験
31)
Macha S. et al.:Clin. Drug. Invest. 2013;33(5):351-357
32)
坂本祐史ほか:社内資料 国内第II相用量検討及び長期安全性試験
33)
Eilbracht J. et al.:社内資料 日本人2型糖尿病患者を含む国際共同第III相24週投与試験
34)
Pinnetti S. et al.:社内資料 国際共同第III相延長試験
35)
田中優子ほか:社内資料 国内第III相併用療法長期投与試験
36)
Manassie J. et al.:社内資料 腎機能障害を有する2型糖尿病患者を対象とした国際共同第III相試験
37)
Gerich JE.:Diabetic Med.:2010;27:136-142
38)
Thomas L.:社内資料 非臨床薬効薬理試験(in vivo単回)
39)
Eickelmann P.:社内資料 非臨床薬効薬理試験(in vitro
40)
Thomas L.:社内資料 非臨床薬効薬理試験(in vivo反復)

文献請求先

主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
DIセンター
〒141-6017 東京都品川区大崎2丁目1番1号 ThinkPark Tower
0120-189-779
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(土・日・祝日・弊社休業日を除く)

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
東京都品川区大崎2丁目1番1号
販売提携
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神戸市中央区磯上通7丁目1番5号