レンドルミンD錠0.25mg


作成又は改訂年月

**2019年7月改訂(第12版)
2017年3月改訂

日本標準商品分類番号

871124

薬効分類名

睡眠導入剤(ブロチゾラム口腔内崩壊錠)

承認等

販売名
レンドルミンD錠0.25mg

販売名コード

1124009F2025

承認・許可番号

承認番号
21400AMZ00353000
商標名
Lendormin D Tablets 0.25mg

薬価基準収載年月

2002年7月

販売開始年月

2002年7月

貯法・使用期限等

貯法
気密容器、遮光保存
使用期限
外箱、容器に使用期限を表示

規制区分

向精神薬
習慣性医薬品注1)
注1)注意−習慣性あり
処方箋医薬品注2)
注2)注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

成分・含量
1錠中ブロチゾラム 0.25mg
添加物
乳糖水和物、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)、フマル酸一ナトリウム、軽質無水ケイ酸、l-メントール、ステアリン酸マグネシウム

性状

剤形
白色の口腔内崩壊錠(割線)
外形
raster
直径
8.0mm
厚さ
2.7mm
重さ
0.17g
識別コード
raster

一般的名称

ブロチゾラム製剤

禁忌

(次の患者には投与しないこと)
1.
**急性閉塞隅角緑内障の患者
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。
2.
重症筋無力症の患者
[重症筋無力症を悪化させるおそれがある。]

原則禁忌

(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期等で呼吸機能が高度に低下している場合
[炭酸ガスナルコーシスを起こすおそれがある。]
「重大な副作用」の項参照

効能・効果/用法・用量

効能・効果

不眠症、麻酔前投薬

用法・用量

本剤の用量は、年齢、症状、疾患などを考慮して適宜増減するが、一般に成人には次のように投与する。
・不眠症
1回ブロチゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する。
・麻酔前投薬
手術前夜:1回ブロチゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する。
麻酔前:1回ブロチゾラムとして0.5mgを経口投与する。

用法・用量に関連する使用上の注意

不眠症には、就寝の直前に服用させること。また、服用して就寝した後、睡眠途中において一時的に起床して仕事等をする可能性があるときは服用させないこと。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)
1.
衰弱患者
2.
高齢者
「高齢者への投与」の項参照
3.
心障害、肝障害、腎障害のある患者
[心障害では症状が悪化、肝・腎障害では代謝・排泄が遅延するおそれがある。]
4.
脳に器質的障害のある患者
[本剤の作用が増強するおそれがある。]

重要な基本的注意

1.
本剤の影響が翌朝以後に及び、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、自動車の運転等の危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
2.
本剤は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜からの吸収により効果発現を期待する製剤ではないため、崩壊後は唾液又は水で飲み込むこと。
3.
*連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避けること。本剤の投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討すること。
[「重大な副作用」の項参照]

相互作用

併用注意

(併用に注意すること)
薬剤名等
アルコール(飲酒)
臨床症状・措置方法
鎮静作用、倦怠感等が増強されるおそれがあるので、アルコールとの服用は避けさせることが望ましい。
機序・危険因子
本剤とアルコールを併用するとクリアランスの低下及び排泄半減期の延長がみられている。
薬剤名等
中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体)
臨床症状・措置方法
鎮静作用が増強されるおそれがある。
機序・危険因子
本剤との併用により鎮静作用が増強するおそれがある。
薬剤名等
CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、ミコナゾール、シメチジン)
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し、作用の増強及び作用時間の延長が起こるおそれがある。
機序・危険因子
本剤の代謝酵素であるCYP3A4が、これらの薬剤で阻害される。
薬剤名等
モノアミン酸化酵素阻害剤
臨床症状・措置方法
鎮静作用が増強されるおそれがある。
機序・危険因子
本剤との併用により鎮静作用が増強するおそれがある。
薬剤名等
CYP3A4誘導剤(リファンピシン等)
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が低下し、本剤の作用が減弱されるおそれがある。
機序・危険因子
本剤の代謝酵素であるCYP3A4が誘導され、本剤の代謝が促進される。
本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4で代謝される。

副作用

副作用等発現状況の概要

レンドルミン錠(普通錠)について、臨床試験及び再審査終了時の調査症例数6,548例中、副作用が報告されたのは256例(3.91%)であった。主な副作用は、残眠感・眠気144件(2.20%)、ふらつき66件(1.01%)、頭重感50件(0.76%)、だるさ48件(0.73%)、めまい25件(0.38%)、頭痛8件(0.12%)、倦怠感7件(0.11%)等であった。また、臨床検査値においては特に一定の傾向を示す変動は認められていない。

重大な副作用

1.
肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP上昇等の肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2.
一過性前向性健忘、もうろう状態(頻度不明)
一過性前向性健忘、また、もうろう状態があらわれることがあるので、本剤を投与する場合には少量から開始するなど、慎重に行うこと。なお、十分に覚醒しないまま、車の運転、食事等を行い、その出来事を記憶していないとの報告がある。異常が認められた場合には投与を中止すること。
3.
依存性(頻度不明)
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与中止により、不眠、不安等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。

重大な副作用(類薬)

呼吸抑制(頻度不明)
ベンゾジアゼピン系薬剤の投与により、呼吸抑制があらわれることが報告されているので、このような場合には気道を確保し、換気をはかるなど適切な処置を行うこと。

その他の副作用

精神神経系
0.1〜5%未満
残眠感・眠気、ふらつき、頭重感、めまい、頭痛
精神神経系
0.1%未満
不穏注1)、興奮注1)、気分不快、立ちくらみ、いらいら感
精神神経系
頻度不明
せん妄、振戦、幻覚、悪夢
肝臓
0.1%未満
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-P、LDHの上昇
循環器
0.1%未満
軽度の脈拍数増加
消化器
0.1%未満
嘔気、悪心、口渇、食欲不振
消化器
頻度不明
下痢
過敏症注2)
0.1%未満
発疹
過敏症注2)
頻度不明
紅斑
骨格筋
0.1〜5%未満
だるさ、倦怠感
骨格筋
0.1%未満
下肢痙攣
その他
0.1%未満
発熱、貧血
その他
頻度不明
尿失禁、味覚異常
以上のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
*注1)不穏及び興奮があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止する等適切な処置を行うこと。
*注2)発現した場合には、投与を中止すること。

高齢者への投与

少量から投与を開始するなど慎重に投与すること。
[高齢者では運動失調等の副作用が発現しやすい。]

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与しないことが望ましい。
[妊娠中の投与に関し、次のような報告があるなど安全性は確立していない。]
(1)
妊娠中にベンゾジアゼピン系薬剤の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査が報告されている。
(2)
ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。
(3)
分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系薬剤で報告されている。
2.
授乳婦への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。
[授乳中の投与に関し、次のような報告があり、また新生児の黄疸を増強する可能性がある。]
(1)
動物実験で乳汁中に移行することが報告されている。
(2)
ヒト母乳中へ移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが、ベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム)で報告されている。

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。

過量投与

本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意(禁忌、慎重投与、相互作用等)を必ず読むこと。

適用上の注意

1.
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
2.
服用時
(1)
本剤は舌の上にのせ唾液を浸潤させ舌で軽くつぶすことにより、崩壊後唾液のみで服用可能である。
(2)
本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。

その他の注意

1.
投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与された患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化、遅延するおそれがある。
2.
ラットの雄で臨床用量の約40,000倍(200mg/kg/日)を2年間投与した試験において、甲状腺での腫瘍発生頻度が対照群に比べ高いとの報告がある。1)

薬物動態

1.
吸収・代謝・排泄
健康成人に経口投与した場合、速やかに吸収され約1.0〜1.5時間で最高血漿中濃度に達する。血漿中濃度消失半減期は約7時間である。2)
健康成人に経口投与した場合、本剤は主として薬物代謝酵素CYP3A4で代謝され3)、主代謝産物はメチル基の水酸化体及びジアゼピン環の水酸化体であり、96時間までに尿中に64.9%、糞中に21.6%が排泄される。4)
[参考:4)は外国人でのデータ]
2.
分布(参考)
経口投与した場合、速やかに全身に分布し、その濃度は消化管、肝臓、副腎、腎臓及び甲状腺で高い。血液−脳関門及び胎盤を通過する。乳汁中濃度は血漿中濃度にほぼ平行して推移する(ラット)。
3.
生物学的同等性
健康成人にレンドルミン錠(普通錠)又はレンドルミンD錠0.25mg(D錠)を経口投与(「(1)普通錠(水で服用)とD錠(水なしで服用)」2)及び「(2)普通錠(水で服用)とD錠(水で服用)」2))した場合のそれぞれの同等性試験において、いずれの場合も剤形間で血漿中濃度の推移は類似しており、CmaxおよびAUC0-24hrの統計的評価において生物学的に同等であった。
raster
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臨床成績

レンドルミン錠(普通錠)について、不眠症及び麻酔前投薬(手術前夜あるいは麻酔前)を対象とした二重盲検比較試験の結果、本剤の有用性が認められた。5〜10)これらの二重盲検比較試験を含む国内延べ191施設、総計1,723例について実施された臨床試験成績は次のとおりであった。
投与対象:不眠症
有効例数/効果判定例数:712/1,103
有効率(有効以上):64.6%
投与対象:麻酔前投薬 手術前夜
有効例数/効果判定例数:219/345
有効率(有効以上):63.5%
投与対象:麻酔前投薬 麻酔前
有効例数/効果判定例数:130/222
有効率(有効以上):58.6%
有効例数/効果判定例数:1,061/1,670
有効率(有効以上):63.5%

薬効薬理

ジアゼパム、ニトラゼパム等既存のベンゾジアゼピン系薬剤と共通した薬理活性スペクトラムを示すが、催眠、抗不安、抗痙攣作用は強く、筋弛緩作用は比較的弱い(マウス、ラット、ネコ11〜13))。
(1)
催眠作用
低用量から催眠作用を示し、睡眠延長作用が認められる(ネコ11)、マウス12))。また、レム睡眠には影響を与えない(ネコ11))。
(2)
動物脳波に対する作用
脳波は傾眠パターンとなり、また中脳網様体あるいは視床下部後部刺激による脳波覚醒反応も抑制される(ウサギ12))。
(3)
作用機序
中枢神経系の代表的抑制性伝達物質であるGABAを介して情動をつかさどる視床下部や大脳辺縁系を抑制する(ラット14))。その結果、自律神経系その他の部位からの余剰刺激は遮断され、催眠、鎮静、抗不安等の中枢神経作用を示す。
(4)
臨床薬理
1)
効果発現・持続時間
健康成人に経口投与した場合、催眠作用は15〜30分より発現し、7〜8時間で消失する。15)
2)
終夜睡眠脳波に対する作用
1)
健康成人に経口投与した場合、脳波上入眠時間の短縮と中途覚醒時間の減少が認められている。
睡眠の各段階において徐波睡眠及びレム睡眠にほとんど影響を与えない。16,17)
2)
神経症及び精神生理学的不眠症の患者に経口投与した場合、入眠を改善し、中途覚醒を減少させ、徐波睡眠を増加させることが認められている。18)

有効成分に関する理化学的知見

一般名
ブロチゾラム(JAN)
Brotizolam(JAN)
化学名
2-bromo-4-(o-chlorophenyl)-9-methyl-6H-thieno[3,2-f]-s-triazolo[4,3-a][1,4]diazepine
化学構造式
raster
分子式
C15H10BrClN4S
分子量
393.69
性状
・白色〜微黄色の結晶性の粉末で、においはない。
・酢酸(100)又はジクロロメタンに溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)、アセトン又は2-ブタノンに溶けにくく、無水ジエチルエーテルに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
融点
208〜212℃
分配係数
1.01×104(pH7.0、クロロホルム/水)

包装

レンドルミンD錠0.25mg:100錠(10錠×10)PTP、1000錠(10錠×100)PTP

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
Hewett C et al:Arzneimittelforschung36:592,1986
2)
関野久邦ほか:新薬と臨牀51:480,2002
3)
Senda C et al:Xenobiotica27(9):913,1997
4)
Bechtel W D:Br J Clin Pharmacol16(Suppl.2):279S,1983
5)
筒井末春ほか:医学のあゆみ131:412,1984
6)
村田忠良ほか:臨床精神医学14:121,1985
7)
工藤義雄ほか:医学のあゆみ134:494,1985
8)
稲永和豊ほか:薬理と治療12:5111,1984
9)
山村秀夫ほか:臨牀と研究62:1924,1985
10)
吉武潤一ほか:Therapeutic Research1:829,1984
11)
Kuhn F J et al:Br J Clin Pharmacol16(Suppl.2):253S,1983
12)
Kimishima K et al:Jpn J Pharmacol36:461,1984
13)
Ueki S et al:Jpn J Pharmacol35:287,1984
14)
Takaori S et al:Neuropharmacology22:221,1983
15)
花岡一雄ほか:臨床薬理14:365,1983
16)
中沢洋一ほか:臨床精神医学13:749,1984
17)
Nicholson A N et al:Br J Clin Pharmacol10:75,1980
18)
金 英道ほか:臨床精神医学20:55,1991

文献請求先

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
DIセンター
〒141-6017 東京都品川区大崎2丁目1番1号 ThinkPark Tower
0120-189-779
(受付時間)9:00〜18:00
(土・日・祝日・弊社休業日を除く)

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
東京都品川区大崎2丁目1番1号