モービック錠5mg/モービック錠10mg


作成又は改訂年月

**2011年8月改訂(第9版)
2010年10月改訂

日本標準商品分類番号

871149

日本標準商品分類番号等

再審査結果公表年月(最新)
2009年12月
国際誕生年月
1995年5月

薬効分類名

非ステロイド性消炎・鎮痛剤

承認等

販売名
モービック錠5mg

販売名コード

1149035F1020

承認・許可番号

承認番号
21600AMZ00548000
商標名
Mobic Tablets 5mg

薬価基準収載年月

2004年12月

販売開始年月

2005年1月

貯法・使用期限等

貯法
室温保存
吸湿注意(「取扱い上の注意」の項参照)
使用期限
外箱、容器に使用期限を表示

規制区分

劇薬

組成

成分・含量
1錠中 メロキシカム 5mg
添加物
クエン酸ナトリウム水和物、乳糖水和物、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム

性状

剤形
淡黄色の錠剤
外形
raster
直径
約6mm
厚さ
約2.3mm
重さ
約0.09g
識別コード
raster
販売名
モービック錠10mg

販売名コード

1149035F2027

承認・許可番号

承認番号
21600AMZ00547000
商標名
Mobic Tablets 10mg

薬価基準収載年月

2004年12月

販売開始年月

2005年1月

貯法・使用期限等

貯法
室温保存
吸湿注意(「取扱い上の注意」の項参照)
使用期限
外箱、容器に使用期限を表示

規制区分

劇薬

組成

成分・含量
1錠中 メロキシカム 10mg
添加物
クエン酸ナトリウム水和物、乳糖水和物、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム

性状

剤形
淡黄色の割線入り錠剤
外形
raster
直径
約8mm
厚さ
約2.8mm
重さ
約0.18g
識別コード
raster

一般的名称

メロキシカム製剤

禁忌

(次の患者には投与しないこと)
1.
消化性潰瘍のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、胃粘膜防御能が低下し、消化性潰瘍を悪化させるおそれがある(ただし、「慎重投与」2.の項参照)]
2.
重篤な血液の異常がある患者[血液の異常を悪化させるおそれがある]
3.
重篤な肝障害のある患者[肝障害を悪化させるおそれがある]
4.
重篤な腎障害のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量低下及び水、ナトリウムの貯留が起こるため、腎障害を悪化させるおそれがある]
5.
重篤な心機能不全のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量低下及び水、ナトリウムの貯留が起こるため、心機能不全を悪化させるおそれがある]
6.
重篤な高血圧症の患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量低下及び水、ナトリウムの貯留が起こるため、血圧を上昇させるおそれがある]
7.
本剤の成分、サリチル酸塩(アスピリン等)又は他の非ステロイド性消炎鎮痛剤に対して過敏症の既往歴のある患者
8.
アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[重症喘息発作を誘発するおそれがある]
9.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

効能又は効果

効能又は効果/用法及び用量

下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群

用法及び用量

通常、成人にはメロキシカムとして10mgを1日1回食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高用量は15mgとする。

用法及び用量に関連する使用上の注意

国内において1日15mgを超える用量での安全性は確立していない(使用経験が少ない)。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)
1.
消化性潰瘍の既往歴のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、胃粘膜防御能が低下するため、消化性潰瘍を再発させるおそれがある]
2.
非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある患者で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている患者(ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能・効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もあるので、本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与すること。)
3.
抗凝血剤(ワルファリン等)を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
4.
血液の異常又はその既往歴のある患者[血液の異常を悪化又は再発させるおそれがある]
5.
肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害を悪化又は再発させるおそれがある]
6.
腎障害又はその既往歴のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量低下及び水、ナトリウムの貯留が起こるため、腎機能障害を悪化又は再発させるおそれがある]
7.
心機能障害のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量低下及び水、ナトリウムの貯留が起こるため、心機能障害を悪化させるおそれがある]
8.
高血圧症の患者[プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量低下及び水、ナトリウムの貯留が起こるため、血圧を上昇させるおそれがある]
9.
気管支喘息のある患者[喘息発作を誘発するおそれがある]
10.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
11.
体液喪失を伴う大手術直後の患者[循環体液量が減少している状態にある患者では、プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流の低下、腎機能障害が惹起されるおそれがある]
12.
出血傾向のある患者[血小板機能異常が起こることがあるため、出血傾向を助長するおそれがある]
13.
炎症性腸疾患(クローン病あるいは潰瘍性大腸炎)の患者[症状が悪化するおそれがある]

重要な基本的注意

1.
本剤はin vitro試験において、シクロオキシゲナーゼ(COX)-1に対してよりもシクロオキシゲナーゼ-2をより強く阻害することが確認されているが、日本人を対象とした臨床試験ではシクロオキシゲナーゼ-2に対してより選択性の低い非ステロイド性消炎鎮痛剤と比較して、本剤の安全性がより高いことは検証されていない。特に、消化管障害発生のリスクファクターの高い患者(消化性潰瘍の既往歴のある患者等)への投与に際しては副作用の発現に留意し、十分な観察を行うこと。(「臨床成績」、「薬効薬理」の項参照)
2.
消炎鎮痛剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意すること。また、薬物療法以外の療法も考慮すること。
3.
長期投与する場合には、定期的かつ必要に応じて臨床検査(尿検査、血液検査、肝機能検査及び便潜血検査等)を行うこと。また、異常が認められた場合には、減量又は休薬する等の適切な処置を行うこと。
4.
患者の状態を十分観察し、副作用の発現に留意すること。なお、消化器系の重篤な副作用〔消化性潰瘍(穿孔を伴うことがある)、吐血、下血等の胃腸出血〕が報告されているので、観察を十分に行い(消化管障害、特に胃腸出血に注意すること)、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「副作用」の項参照)
5.
感染症を不顕性化するおそれがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
6.
他の消炎鎮痛剤との併用は避けることが望ましい[他の非ステロイド性消炎鎮痛剤で、相互に副作用を増強することが報告されている]。(「相互作用」の項参照)
7.
眼の調節障害、眠気等の精神神経系症状があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう十分注意すること。

相互作用

併用注意

(併用に注意すること)
薬剤名等
ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗剤
臨床症状・措置方法
糸球体濾過量がより減少し、腎障害のある患者では急性腎不全を引き起こす可能性がある。
機序・危険因子
プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。
薬剤名等
選択的セロトニン再取り込み阻害剤
臨床症状・措置方法
出血傾向が増強するおそれがある。
機序・危険因子
選択的セロトニン再取り込み阻害剤は血小板凝集抑制作用を有するためと考えられる。
薬剤名等
プロスタグランジン合成阻害剤
(糖質コルチコイド、他の非ステロイド性消炎鎮痛剤、サリチル酸塩(アスピリンを含む))
臨床症状・措置方法
消化性潰瘍および胃腸出血のリスクを高める可能性がある。
機序・危険因子
両剤ともプロスタグランジン合成阻害作用を有するためと考えられる。
薬剤名等
**抗凝固剤(トロンビン阻害剤(ダビガトランエテキシラート等)、クマリン系抗凝血剤(ワルファリン等)、ヘパリン)
臨床症状・措置方法
出血傾向が増強するおそれがあるので、併用が避けられない場合は、血液凝固に関する検査を行うなど、これら薬剤の効果を十分観察すること。
機序・危険因子
これら薬剤は抗凝固作用を有するためと考えられる。また、CYP2C9による代謝において、本剤とワルファリンとの薬物相互作用が起こるおそれがある。
薬剤名等
抗血小板剤(チクロピジン)
臨床症状・措置方法
出血傾向が増強するおそれがある。
機序・危険因子
抗血小板剤は血小板凝集抑制作用を有するためと考えられる。
薬剤名等
血栓溶解剤
臨床症状・措置方法
出血傾向が増強するおそれがある。
機序・危険因子
これら薬剤は血栓溶解作用を有するためと考えられる。
薬剤名等
コレスチラミン
臨床症状・措置方法
本剤の作用が減弱する。
機序・危険因子
コレスチラミンの薬物吸着作用により、本剤の消失が速まると考えられる。
薬剤名等
経口血糖降下剤
臨床症状・措置方法
本剤の作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子
機序は十分に解明されていないが、グリベンクラミドが本剤の代謝を阻害した(in vitro試験)との報告がある。
薬剤名等
キニジン
臨床症状・措置方法
本剤の作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
機序は十分に解明されていないが、キニジンが本剤の代謝を亢進させた(in vitro試験)との報告がある。
薬剤名等
リチウム
臨床症状・措置方法
血中リチウム濃度が上昇する。他の非ステロイド性消炎鎮痛剤で、リチウム中毒を呈したとの報告があるので、本剤の治療開始、用量の変更及び中止時には、血中リチウム濃度を測定するなど留意すること。
機序・危険因子
プロスタグランジン合成阻害作用により、リチウムの腎排泄が遅延するためと考えられている。
薬剤名等
メトトレキサート
臨床症状・措置方法
メトトレキサートの血液障害を悪化させるおそれがあるので、血液検査を十分行うこと。
機序・危険因子
プロスタグランジン合成阻害作用により、メトトレキサートの尿細管分泌を抑制するためと考えられている。
薬剤名等
利尿剤
臨床症状・措置方法
利尿剤を使用中の患者においては、非ステロイド性消炎鎮痛剤で急性腎不全を起こすおそれがあるので、腎機能に十分留意し、本剤の併用を開始すること。
機序・危険因子
プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量低下及び水、ナトリウムの貯留が起こるためと考えられている。
薬剤名等
降圧薬(β受容体遮断薬、ACE阻害薬、血管拡張薬、利尿剤等)
臨床症状・措置方法
他の非ステロイド性消炎鎮痛剤で、降圧薬の効果を減弱させることが報告されている。
機序・危険因子
血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成が阻害されるため、降圧薬の血圧低下作用を減弱させると考えられている。
薬剤名等
シクロスポリン
臨床症状・措置方法
シクロスポリンの腎毒性が非ステロイド性消炎鎮痛剤により増強されるおそれがあるので、腎機能に十分留意すること。
機序・危険因子
プロスタグランジン合成阻害作用により腎血流量が減少するためと考えられている。

副作用

副作用等発現状況の概要

<国内>
国内における承認時までの臨床試験及び製造販売後調査の総症例6,693例中副作用が報告された症例は433例(6.5%)であった。このうち、主な副作用は、胃不快感81件(1.2%)、上腹部痛72件(1.1%)、発疹27件(0.4%)、悪心21件(0.3%)、胃炎18件(0.3%)、口内炎18件(0.3%)等であった。臨床検査値においては、一定の傾向を示す変動は認められていない。(再審査終了時)
<海外>
海外における臨床試験は、健康成人、関節リウマチ、変形性関節症又は強直性脊椎炎の患者(5,500例)を対象に実施された。このうち、3,750例に本剤7.5mg、15mgが経口投与され、主な副作用は、消化不良(7.0%)、嘔気(4.6%)、頭痛(4.0%)、下痢(3.5%)、皮疹(2.8%)等であった。(ヨーロッパにおける承認申請時)

重大な副作用

1.
消化性潰瘍(0.1%未満)(穿孔を伴うことがある)、吐血(0.1%未満)、下血等の胃腸出血(0.1%未満)、大腸炎(0.1%未満注)
観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2.
喘息(0.1%未満注)
観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3.
急性腎不全(0.1%未満)
観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4.
無顆粒球症(頻度不明注))、血小板減少(0.1%未満)
観察を十分に行い、定期的かつ必要に応じて血液検査を実施し、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。特にメトトレキサートのような骨髄機能を抑制する薬剤と併用する際には、留意すること。(「相互作用」の項参照)
5.
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明注))、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)(頻度不明注))、水疱(頻度不明注))、多形紅斑(頻度不明注)
観察を十分行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6.
アナフィラキシー反応/アナフィラキシー様反応(0.1%未満注))、血管浮腫(0.1%未満注)
観察を十分行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
7.
肝炎(頻度不明注))、重篤な肝機能障害(1%以下注)
観察を十分行い、定期的かつ必要に応じて臨床検査を実施し、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注):頻度は海外の臨床試験成績に基づく。また、頻度不明は海外の市販後の自発報告によるもの(注の記載がないものは国内の臨床試験及び製造販売後調査に基づく)。

重大な副作用(類薬)

ショック、再生不良性貧血、骨髄機能抑制、ネフローゼ症候群
他の非ステロイド性消炎鎮痛剤でこのようなことがあらわれることがあるので、観察を十分行い、定期的かつ必要に応じて臨床検査を実施し、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

循環器
0.1%未満注1)
低血圧、動悸、血圧上昇
消化器
0.1〜5%未満注1)
口内炎、食道炎注3)、悪心・嘔気、食欲不振、胃潰瘍、胃炎、腹痛、消化不良、鼓腸放屁注3)、下痢、便潜血
消化器
0.1%未満注1)
口内乾燥、口角炎、おくび、嘔吐、腹部膨満感、便秘
精神神経系
0.1〜5%未満注1)
頭痛
精神神経系
0.1%未満注1)
知覚異常、眠気、眩暈、味覚障害
精神神経系
頻度不明注2)
錯乱、失見当識、抑うつ
過敏症
0.1〜5%未満注1)
発疹、皮膚そう
過敏症
0.1%未満注1)
接触性皮膚炎、光線過敏性反応注3)、蕁麻疹
感覚器
0.1%未満注1)
眼異物感、眼球強膜充血、耳鳴
感覚器
頻度不明注2)
結膜炎、視覚障害、霧視
肝臓
0.1〜5%未満注1)
AST(GOT)、ALT(GPT)、LDH、Al-Pの上昇等の肝機能障害、ウロビリノーゲンの上昇
肝臓
0.1%未満注1)
総ビリルビン値の上昇
腎臓
0.1〜5%未満注1)
BUNの上昇、尿蛋白
腎臓
0.1%未満注1)
尿量減少、クレアチニン、尿酸値の上昇、総蛋白、アルブミンの低下、尿糖
血液
0.1〜5%未満注1)
赤血球、白血球注3)、ヘモグロビン、ヘマトクリット値、リンパ球の減少、好中球、好酸球、好塩基球、単球の増加
血液
0.1%未満注1)
白血球の増加、貧血
その他
0.1〜5%未満注1)
浮腫、尿沈の増加、尿潜血
その他
0.1%未満注1)
咳嗽、腋窩・乳房の痛み、悪寒、潮紅・ほてり、発熱、下肢脱力、倦怠感、気分不快、血清鉄の減少、カリウムの上昇
その他
頻度不明注2)
排尿障害(尿閉を含む)
*注1)頻度は国内の臨床試験及び製造販売後調査に基づく。
*注2)海外の市販後の自発報告によるものであるため頻度不明(国内の臨床試験及び製造販売後調査では認められなかった副作用)。
*注3)海外の臨床試験成績に基づく(国内の臨床試験及び製造販売後調査では認められなかった副作用)。

高齢者への投与

高齢者では副作用があらわれやすいので、少量(1回5mg1日1回)から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。なお、一般に高齢者においては胃腸出血、潰瘍、穿孔はより重篤な転帰をたどり、きわめてまれにではあるが致死性の消化管障害も報告されている。これらの事象は治療のどの時点でも発現し、重篤な消化管障害の既往の有無にかかわらず発現する可能性があるので、観察を十分行い(消化管障害、特に胃腸出血に注意すること)、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
動物実験(ラット及びウサギ)において、次のことが認められているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
(1)
ラットの妊娠前及び妊娠初期投与試験において、黄体数、着床数及び生存胎児数が減少し、着床率の低下と着床後死亡率の増加がみられた。
(2)
ラットの器官形成期投与試験において妊娠期間の延長及び死産児数の増加がみられた。
(3)
ウサギの器官形成期投与試験において有意ではないが着床後死亡率の増加がみられた。
(4)
ラット周産期及び授乳期投与試験において、妊娠期間の延長及び分娩時間の遷延、死産児数及び生後4日までの死亡児数の増加がみられた。
2.
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には、授乳を中止させること[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている]。

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する使用経験はなく安全性は確立していない。

過量投与

1.
症状
過量投与に関する情報は少なく、典型的な臨床症状は確立していない。
2.
処置
過量投与の場合には、一般的な胃洗浄、支持療法、対症療法を行うこと。なお、コレスチラミンが本剤の消失を速めるとの報告がある。1)

適用上の注意

薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)

その他の注意

1.
非ステロイド性消炎鎮痛剤を長期間投与されている女性において、一時的な不妊が認められたとの報告がある。
2.
他の非ステロイド性消炎鎮痛剤で、IUDの避妊効果を減弱させることが報告されている。

薬物動態

1.
吸収
健康成人に14C-メロキシカム30mg注)を経口投与したときの吸収率は約100%であると推定された。2)
2.
血中濃度
(1)
単回投与
健康成人にメロキシカム5、10、20mg注)をカプセル剤として空腹時投与したとき、最高血中濃度は約7時間後に得られ、血中濃度のピークは二峰性を示し、これは腸肝循環及び腸管内へ排泄された後、腸から再吸収される腸から腸への再循環(enteroenteric circulation)によると考えられる。Cmax及びAUCは用量相関性を示した。3)
健康成人男子を対象にメロキシカム10mgを錠剤及びカプセル剤として空腹時投与し、薬物動態パラメータを比較した結果、両製剤が生物学的に同等であることが確認された。4)
(2)
反復投与
健康成人男子にメロキシカム10mgをカプセル剤として食後に7日間反復投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりである。5)
メロキシカム10mg反復投与後の薬物動態パラメータ(食後投与)
薬物動態パラメータ:Cmax(μg/mL)
平均値±S.D.:1.842±0.428
薬物動態パラメータ:AUC0-τ(μg・h/mL)
平均値±S.D.:30.21±7.88
薬物動態パラメータ:Cτ(μg/mL)
平均値±S.D.:0.875±0.300
薬物動態パラメータ:MRT(h)
平均値±S.D.:29.95±7.40
薬物動態パラメータ:t1/2(h)
平均値±S.D.:18.68±5.20
薬物動態パラメータ:tmax(h)
平均値±S.D.:5.160±1.599
(n=25)
メロキシカム10mg反復投与後の血漿中濃度推移(食後投与,平均値±S.D.)
raster
(3)
食事の影響
健康成人にメロキシカム10mgを空腹時及び食後に投与したときの薬物動態パラメータを比較した。その結果、Cmaxは食後投与時で高かったが、AUCに差は認められず、メロキシカムの吸収に対する食事の影響は少ないものと考えられた。6)
メロキシカム10mg単回経口投与後の薬物動態パラメータ(空腹時及び食後投与)6)
薬物動態パラメータ:空腹時投与
Cmax(μg/mL):0.741±0.101
tmax(h):8.0±8.0
t1/2(h):28.7±5.6
AUC0-72(μg・h/mL):26.6±5.0
薬物動態パラメータ:食後投与
Cmax(μg/mL):0.851±0.139
tmax(h):5.0±1.0
t1/2(h):23.7±5.3
AUC0-72(μg・h/mL):26.9±5.1
(平均値±S.D.,n=12)
3.
分布(参考)
14C-メロキシカム1mg/kgを経口投与した場合、消化管の他に血液、肝臓、腎臓、肺、甲状腺で高濃度であり、脳にはほとんど分布しなかった(ラット7))。また乳汁中に移行した(ラット8))。
4.
蛋白結合率
(1)
in vivo試験成績
健康成人に14C-メロキシカム30mg注)を経口投与したとき、血清蛋白との結合率は99%以上であった。2)
(2)
in vitro試験成績
ヒト血漿蛋白との結合率は99%以上であり9)、主結合蛋白はアルブミンであると考えられた。10)
5.
代謝
健康成人に14C-メロキシカム30mg注)を経口投与したとき、血漿中ではほとんどが未変化体であり、代謝物はほとんど認められなかった。2)尿中には未変化体は認められず、主な代謝物は5'-ヒドロキシメチル体、5'-カルボキシ体及びチアジン環の酸化的開裂によって生じるオキサム酸化合物等であった。2)メロキシカムの代謝には主に肝臓のチトクロームP-450のCYP2C9が、また、部分的にCYP3A4が関与することが示唆された。11)
6.
排泄
健康成人に14C-メロキシカム30mg注)を経口投与したとき、未変化体及び代謝物の総量は、投与後168時間までに尿中に約43%、180時間までに糞中に約47%排泄された。2)
[2)は外国人でのデータ]
注)本剤の承認された用法・用量は、メロキシカムとして1日1回10mg食後経口投与である。

臨床成績

1.
臨床効果
モービックカプセルについて、関節リウマチ12)、変形性関節症13)、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群14)を対象とした二重盲検比較試験の結果、本剤の有用性が認められた。
これらの二重盲検比較試験を含む国内延べ280施設、効果判定の対象となった955例中、承認された効能・効果及び用法・用量における臨床試験成績(636例)は次のとおりであった。
投与対象:関節リウマチ
有効例数/効果判定例数:102/306
有効率(中等度改善以上):33.3%
投与対象:変形性関節症
有効例数/効果判定例数:120/166
有効率(中等度改善以上):72.3%
投与対象:腰痛症
有効例数/効果判定例数:48/57
有効率(中等度改善以上):84.2%
投与対象:肩関節周囲炎
有効例数/効果判定例数:37/55
有効率(中等度改善以上):67.3%
投与対象:頸肩腕症候群
有効例数/効果判定例数:42/52
有効率(中等度改善以上):80.8%
2.
安全性(二重盲検比較試験成績)
(1)
モービックカプセルについて関節リウマチを対象に、比較対照薬としてピロキシカムカプセル20mg(1日1回投与)を用いて実施した二重盲検比較試験では、本剤の概括安全度は対照薬との間に有意差を認めなかった。12)
(2)
モービックカプセルについて変形性関節症を対象に、比較対照薬としてジクロフェナク錠25mg(1日3回投与)を用いて実施した二重盲検比較試験では、本剤の概括安全度は対照薬に比し有意に優れていた。13)
(3)
モービックカプセルについて腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群を対象に、比較対照薬としてインドメタシンカプセル25mg(1日3回投与)を用いて実施した二重盲検比較試験では、本剤の概括安全度は対照薬との間に有意差を認めなかった。14)

薬効薬理

1.
抗炎症作用
メロキシカムはカオリン足蹠浮腫(ラット15))において、インドメタシンとほぼ同等の抗炎症作用を示した。アジュバント関節炎(ラット15,16))においては、インドメタシン、ピロキシカム及びジクロフェナクナトリウムに比し、数倍強力な作用を示した。カラゲニン足蹠浮腫(ラット17))、綿球法による肉芽形成(ラット15))、カラゲニン胸膜炎(ラット15,18))においても抗炎症作用を示した。
2.
鎮痛作用
メロキシカムは足蹠浮腫の炎症性疼痛(ラット15):Randall-Selitto法)、アジュバント関節炎痛(ラット17))、酢酸writhing(マウス17))において、インドメタシン及びピロキシカムとほぼ同程度の鎮痛作用を示した。
3.
消化管に対する作用
メロキシカムの胃粘膜障害作用(ラット15,18))及び小腸潰瘍惹起作用(ラット17))は、ピロキシカム及びインドメタシンよりも弱かった。また、塩酸による胃粘膜障害(ラット)に対して、抗炎症用量でピロキシカムは有意に増悪作用を示したが、メロキシカムは増悪作用を示さなかった。19)
4.
シクロオキシゲナーゼ(COX)-1及びCOX-2に対する阻害活性
メロキシカムは、酵素実験18)及び細胞を用いた実験20)において、COX-1よりもCOX-2に対して強い阻害活性を示した。
in vitro試験におけるCOX-1、COX-2に対する阻害活性比18,20)
IC50(COX-2/COX-1)
酵素実験18):0.0825
細胞実験20):0.33
5.
作用機序
メロキシカムはシクロオキシゲナーゼ(COX)の活性を抑制して(in vitro18,20))、炎症局所におけるプロスタグランジンの生合成を阻害し(ラット、マウス21))、消炎・鎮痛作用を示すと考えられる。

有効成分に関する理化学的知見

一般名
メロキシカム(JAN)
Meloxicam(JAN)
化学名
4-hydroxy-2-methyl-N-(5-methyl-2-thiazolyl)-2H-1,2-benzothiazine-3-carboxamide-1,1-dioxide
化学構造式
raster
分子式
C14H13N3O4S2
分子量
351.40
性状
淡黄色の粉末である。
ギ酸に溶けやすく、メタノール又はエタノール(95)に極めて溶けにくく、水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
融点
241℃(分解)

取扱い上の注意

本品は品質保証上、防湿包装にしているので、開封後の保管及び投薬調剤の場合は、吸湿に注意すること。

包装

モービック錠5mg:100錠(10錠×10)PTP
モービック錠10mg:100錠(10錠×10)PTP、700錠(14錠×50)PTP

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
Busch U et al:Eur J Clin Pharmacol48:269,1995
2)
Schmid J et al:Drug Metab Dispos23:1206,1995
3)
東純一ほか:基礎と臨床30(12):3189,1996
4)
社内資料:体内動態の検討(空腹時単回投与)
5)
社内資料:体内動態の検討(食後反復投与)
6)
入江伸ほか:基礎と臨床30(12):3249,1996
7)
大岩陽子ほか:薬物動態12(2):108,1997
8)
Busch U:Drug Metab Dispos26(6):576,1998
9)
社内資料:蛋白結合率のin vitro試験成績
10)
Turck D et al:Arzneim-Forsch47(1):253,1997
11)
Chesne C et al:Xenobiotica28(1):1,1998
12)
水島裕ほか:基礎と臨床31(3):1115,1997
13)
青木虎吉ほか:臨床医薬13(4):973,1997
14)
桜井実ほか:基礎と臨床31(3):1201,1997
15)
Engelhardt G et al:Inflamm Res44:423,1995
16)
Engelhardt G et al:Inflamm Res44:548,1995
17)
吉田益美ほか:応用薬理53:351,1997
18)
Ogino K et al:Pharmacology55(1):44,1997
19)
社内資料:消化管に対する作用の検討
20)
Engelhardt G et al:Biochem Pharmacol51:21,1996
21)
Engelhardt G et al:Biochem Pharmacol51:29,1996

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